目次

第一章 都市民俗学の目的と方法
 一 都市とは何か
       都市は最初からあった/日本の都市的なるものの変遷/都市は互酬と放蕩の場/都市の民俗原理/定住大都市の課題
 二 都市論の系譜と課題
    初期シカゴ学派/都市イデオロギー批判/柳田國男と折口信夫の都市論/都市民俗学・都市人類学・都市史研究動向
 三 差別民俗論の動向と課題
    都市と差別/差別民俗論の目的と方法/差別民俗論の動向/差別の発生とケガレ
 四 方法としての民俗学
    折口信夫のtheory/本研究のtheory・method

第二章 山・川・町
 一 川と「山の神」
 二 地方権力と河原の市―備後国府・荘園との関連で
       吉備津神社門前市/草戸千軒
 三 流通と河岸町
    利根川の河岸/新河岸川の河岸/淀川の浜/加古川の浜
 四 河川史と河原――治水史と河原の町

第三章 大都市の河原町
 一 仙台の二つの境界 河原町の差別伝承と堤町
 二 江戸・東京の川と浜
    葦原から小塚原(骨ヶ原)/千住ヤッチャバ
 三 ものづくり名古屋と河原――大洲・大須・堀川・則武の変遷
 四 京都――遊興は河原から宮地へ、差別は河原に 
    鴨川と部落/0番地/新京極変遷
 五 大坂・大阪――墓場と盛り場 七墓めぐり
 六 広島県広島市河原町
 七 金沢・堺・福岡――境界の都市
 八 近代都市と河原――神戸・川崎・横浜
 九 熊本県熊本市の河原町
 一〇 大都市の河原町の特色

第四章 河原町の諸相
 一 河原町の諸相の研究方向
 二 北海道の河原町
 三 東北の河原町 会津若松・盛岡
 四 関東の河原町
 五 中部の河原町 福井県・島田
 六 近幾の河原町
 七 中国・四国の河原町 津山・三次・松山・「徳島の河原町:新町川ボードウォーク」
 八 九州の河原町 八代・竜北

第五章 河原町の特色
 一 都市形成モデルと河原町の本質
 二 交通・流通・河川改修と河原町
 三 職人・芸能・信仰と河原町
    木屋/金屋/念仏/御霊/観音/地蔵
 四 河原宿と遊女・茶屋
 五 墓地・火災・盛り場 公界と死
 六 河原をめぐる現代の攻防
    鴨川の床/小樽妙見市場/釜石橋上市場/小倉担過市場

第六章 ケガレと河原町
 一 部落史と民俗学との間の欠落
 二 差別の諸相と境界
 三 河原町と瓦町
 四 ハレ・ケ・ケガレ
 五 民俗原理の変遷
 六 神戸アジアタウンのケガレとハレ
 七 ハレとケガレの消費民俗学
    チリ・クズ・ゴミの変化/ゴミの登場/汚物糞尿の登場/市場のある暮らし/デパート
 八 「ケガレと河原町」に関する総括

結論にかえて
コモンズから入会へ/都における公界の濫用/日本的公界の再構築/村の共有から自治なき都市へ/いえづくりからまちづくりへ  
補論
 都市の発見・民俗学の発見
    フュールド科学の可能性/聞書きという手法
 なぜ都市を問題にするのか
 なぜ精神史を問題にするのか――柴田篤弘・池田清彦『差別ということば』を読んで
 宮田登の残したもの
 山産物の近代・都市――人吉
 交流空間としての奈良街道
    大亀茶屋/長池/街道の茶屋/奈島十六/野市/多賀
 介護の街ではなく「はたらき」を活かす街をめざせ
    コレクティブタウン/駒どりの家/翁のいる空間
 市民・常民
    伝承母体/NPOとCBO

事項索引
地名索引