酒井敏『京大的アホがなぜ必要なのか―カオスな世界の生存戦略』凸版印刷、2019年 スケールフリー 臨界状況
19世紀 ダーウィンが進化論を書くまでは 神が世界を作った
19-20世紀 「すべては因果律によって成り立ち、自然科学で未来予測が可能だ」=20世紀科学信仰
これを「ラプラスの悪魔」p29-32 とよぶ。 しかし、
1963年ローレンツ・アトラクター コンピュータによる完璧な天気予報は不可能という結論⇒自然界はカオスだp40
1970年ロバート・メイ すべてのパラメーターを正確に決定できる単純なモデルにおいてすら、長期的な予測は不可能
異なる電卓 (n2-2)ⅿ すべて異なる数値になる(極小少数第n位端数切り捨てが電卓によって異なるから)
【酒井仮説】社会全体は、自己相似のスケールフリー構造を持ち、ちょっとずつ異なって、大きく変わっちゃう臨海状況にあるという世界観 (カオス力学)
べき乗数(累乗数)が顔を出す現象はフィードバックがかかった状況→だから、論理学的にはアブダクションが重要となる*類構造の発見
そして、自己組織化して臨界状況にいたる人間社会pp200ー201
※複雑系ネットワークは、ランダム・混沌ではなく、スケールフリー性、スモールワールド性、クラスター性 すなわち構造をもっている
シェルビンスキーの正四面体=全辺の中間を結ぶと4つの正四面体ができる。これを繰り返すと、形はあるのに、積がない物体となる。 人間社会は、フラクタル構造なのである
【酒井の既知識批判】
これまでの世界観 ランダムモデル → 統計量に支配される
だから 限定的な 正しい原理 で構成し →樹形モデル を描く
しかし、その前提に立って、決まったルールのもとの研究は、研究ではなくて作業であるp167
ランダムモデルは「死の状態」「烏合の衆」を前提としている →ランダムモデルの研究教育は、だからワクワクしない
■そうではなくて
生物の進化とは、自己相似(コピー:遺伝)のなかでの差異(突然変異)=無目的試行錯誤の積み重ね p234 である。だから、小さな差異が、どんどん広がり、とんでもないガラクタ状況(臨界)になる
だが、ガラクタが集まり、ある程度の密度になる(臨界)と、一気につながる→おもろい。そんなとき、多様な遊び、毒を知っているアホが、臨機応変に対応して何とかしよる。
成功体験を得たアホは図に乗り、おもろそうな匂いがやみつきになり、さらなるアホ進化するp235
しかし、森栗のように、おもしろさに走り、毒を逆手にとって生きる方法は、実は非効率で、危険、失敗だらけ p163
論理的選択と集中の大学では、排除すべき対象 かも?
だが、
(臨機応変に意味もなく何でも結びつける)エンゲージメント経営が必要なとき
→アホが対話の効用(雑談じゃない)によって、イノベーションをもたらす
20世紀科学信仰の偉い人から「対話してどないすんねん」と、どんなにアホにされても、アホが臨界状況の世界を救うんや。
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