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2016年8月 7日 (日)

住民主体と民間主導 蟲明眞一郎

ひきつづき蟲明眞一郎先生の講座から。 

「平成23年度の『地方財政白書』によると、普通建設事業費のうち都市計画費すなわち街づくり事業費は、平成11年から平成21年までの10年間で4割以上減少」している。「都市計画事業では土地費用はちょうど1/3」になるので、1999年にPFI法が制定されてから、「特定目的会社(SPC)というものを設立し、それが資産を買い取り、その証券を小口化して、一般から資金を集めるという手法」がひろがった。この肝は、「民間企業に自由に考えてもらえれば、組合せとアイデアによっては事業費に倍以上の開きが出ることもあり得る。そういう提案募集をすること」なのだが、役所のなかには持ち出し予算がいらないからと、仕様書を決め込んだ奇妙なPFIもある。「資金だけなら、PFIより市債の方が利息がずっと安い」と蟲明先生は憤る。 

 さて、こうなると「住民主体と民間主導をどのように調整するかが課題になる・・・今回、エリアマネジメントの制度を考えてみて、これからの街づくりでは、住民が、それらを専門家や民間にどれだけ委ねられるかが成否の分かれ目になる」と述べておられます。 

 そのひとつの答えが、神戸フルーツフラワーパーク大沢だと私は思っている。神戸市が定期借地を設定し、地元の3社が連携企業を作り、プロポーザルで受託し、自分たちの資金で道の駅を作っています。付近は休日にはクルマの渋滞が多いので、隣接するアウトレットと道の駅を、村の共有地を通って結ぶコミュニティバスを計画しています。この収益で、平日は地域の福祉、生活利便の運行をしようとしている。
 行政の自己資金で建設するだけではない時代になった。行政の土地を、住民の主体を活かした起業に上手に運営してもらうことが重要なのかもしれない。
枚方のTサイトは、蔦屋のすばらしいデザインの文化サービスセンターである。枚方出身のオーナーの想いがこめられており、程度の深度はともかく、これも一つの住民の主体の表現かもしれない。常識を打ち破る発想が専門家、住民にできないときは、脱常識の一部の住民・賛同者が、事業展開するのも、新しい住民主体かもしれない。

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