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2016年7月

2016年7月29日 (金)

木村斉「稼ぐまちが地方を変える」NHK新書、2015

・ビルのゴミをまとめて(時間、場所)コンペにするとコストを170万円下げれる。この削減効果の1/3はビルオーナーの利益、1/3はテナントの共益費減額、残りはまち会社の利益pp60-62
・城崎温泉 多数の旅館のエレベーターの共同メインテナンス契約 400万円削減 西村家が旗振り。この利益もオーナーに1/3、テナントを通じてサービスに1/3、まちづくり再投資pp124-125
・米国 不動産オーナーがまちの価値をたかめるために連携→BID(Business Improvement District)負担金p73‐
 しかし、日本では身銭を切って自分のまちに投資するビルオーナーはいない。不満があれば役所や政治家に頼み込む。「損はしたくないが、得はしたい」。不動産価値は右上がりのなかで、景気で加速し、まちの価値は行政が作ると、思い込んでいる。p76
⇒現実は不動産価値があがらない。地方では下がる。これからは都市間競争だから、まちに投資すべき だが、なかなか気づかない。だから、まち会社(官営のまちづくり会社じゃない)が大切。
・目的の明確化が大切・・・「コミュニケーション」「活性化」なんて、何もいっていないのと同じ・・・全員合意ではなく、投資する中間を2-3人 が大切pp105-107、111-114
・目的が決まったら先回り営業し、営業目安にあわせた建設投資をすれば良いp123

■森栗の疑問・・・経営論としては正しい。だったら、下手なまちづくなど不要で、蔦屋が枚方Tサイトをつくれば、それで充分。銀行も蔦屋のコンセプトに連携し郊外で17時以降も土日も開ける空中店舗、公開会議スペース・・・。市民合意や市民主体など不要、コンシューマーがデータとして管理される。Tサイトが最も効率のよいまちづくりだが、それで良いのか?

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PFIの意味 住民主体と民間投資(地元企業) 蟲明眞一郎

ひきつづき蟲明眞一郎先生の講座から。

 

「平成23年度の『地方財政白書』によると、普通建設事業費のうち都市計画費すなわち街づくり事業費は、平成11年から平成21年までの10年間で4割以上減少」している。「都市計画事業では土地費用はちょうど1/3」になるので、1999年にPFI法が制定から、「特定目的会社(SPC)というものを設立し、それが資産を買い取り、その証券を小口化して、一般から資金を集めるという手法」がひろがった。この肝は、「民間企業に自由に考えてもらえれば、組合せとアイデアによっては事業費に倍以上の開きが出ることもあり得る。そういう提案募集をすること」なのだが、持ち出し予算がいらないからという仕様書を決め込んだ奇妙なPFIもある。「資金だけなら、PFIより市債の方が利息がずっと安い」と、蟲明先生は憤る。

 

 さて、こうなると「住民主体と民間主導をどのように調整するかが課題になると言いました。今回、エリアマネジメントの制度を考えてみて、これからの街づくりでは、住民が、それらを専門家や民間にどれだけ委ねられるかが成否の分かれ目になる」と述べておられます。

 

 そのひとつの答えが、神戸フルーツフラワーパーク大沢である。神戸市が定期借地を設定し、地元の3社が連携企業を作り、プロポーザルで受託し、自分たちの資金で道の駅を作っています。付近はクルマの渋滞が多いので、隣接するアウトレットと道の駅を、村の共有地を通って結ぶコミュニティバスを計画しています。この収益で、平日は地域の福祉、生活利便の運行をしようとしている。

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2016年7月26日 (火)

子ども食堂

「こども食堂とは、こどもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」。
それだけ。
「こども」に貧困家庭という限定はついていない。
「こどもだけ」とも言っていない。
大事なことは、子どもが一人ぼっちで食事しなければならない孤食を防ぎ、さまざまな人たちの多様な価値観に触れながら「だんらん」を提供することだ。
だから、一人暮らし高齢者の食事会に子どもが来られるようになれば、それも「こども食堂」だ。

「こども食堂を開く時『困っている人やお金がない人は来てください』と言ったら、絶対に来ないでしょう。また、そんな情報も届かないかもしれません。特にひとり親の方々は支援や制度、人や地域とつながる時間の余裕が全くありません。
問題はお金だけでなく「時間」と「つながり」の困窮による孤立です。子ども食堂の意味は“単に子どもがご飯を食べる場所”ではありません。子どもも大人も社会的孤立の状態にあって得られない情報や、支援、制度利用、つながりを得られる場が必要です。日中は行政と学校というセーフティネットがあります。もうひとつ、地域が「生きること」を支える役割を果たせるようになってほしい」

”場”としてのこども食堂
「むしろ、より積極的に、多世代交流型になることが望ましい」と近藤さんは言う。
孤食をわびしく感じるのは、子どもだけではない。
若者もお年寄りも、仕事で疲れて食事をつくる元気の出ない母親や父親も「今日はちょっと食べに行こうかな」と寄れればいい。
そして、子どもは食事後に遊んでもらったり、ちょっと勉強を見てもらったり、 母親や父親は人生の先輩たちから子育てのアドバイスを受けたり、地域の子育て情報を交換したり、お年寄りは、子どもと遊んであげることを通じて子どもに遊んでもらえばいい。 そこに障害のある子どもや大人がいてもいいし、外国籍の子どもや大人がいてもいい。より多くの人たちが「自分の居場所」と感じられるようになることが理想だ、と。

 支援ではなく、命をともに守る、つながりの場づくりなんだと知った。
湯浅誠「子ども食堂で考える、貧困 対策に必要なこと」 東洋経済ONLINE 2016/7/23・24

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