ヤン・ゲール『人間の街』鹿島出版、2014年
ヤン・ゲール『人間の街』
都市人口が過半を占め、都市の優先課題を人間の次元に関する関心が高まる。そのとき、
生き生きした→社会的文化的機会の重要性
安全で →滞留する人が増えると、安全な街の可能性が高まる⇒ベンチ
持続的で →徒歩・自転車・公共交通機関などグリーンモビリティになる
健康的な →グリーンモビリティが日常生活に組み入れられると健康な街になる
街が求められる。(p14-15)
建物のあいだのアクティビティ:都市空間の共用 歩行は特別の交流形態
長い滞留、短い停止、立ち話、ダンス、ウィンドーショッピング、露天、子どもの遊び、物乞い、大道芸
⇒新鮮な空気、ふれあい、屋外時間、楽しみ
not歩行交通、歩行者流、歩道容量、(p27)
なぜなら「人こそ人のこよなき喜び」アイスランドの叙事詩集エッダの一編ハーブモウからの引用(p33)
「驚き」に満ちた予測不能な体験は、出会いの場所としての都市空間でなくては得られない特質である。
電子的な情報通信とともに、都市のアクティビティも必要だ。(p36)
⇒人々がまちに出ないのは、日本のまちがアクティビティがないからだ
ボディーランゲージが見える 100m以下
個人を識別できる 叫び声が聞こえる 50-70m
大声の一方的伝達 35m
顔の表情、感情を把握できる 声が聞こえる 22-25m 会話交換(20-25m)
会話コミュニケーション 0.5-7m以下
匂い、体温、まなざし、怒り もっと近く
(ヤン・ゲール『建物のあいだのアクティビティ』鹿島出版、2011、pp92-98)
密接距離(0-45cm) 強い感情のやりとり
個体距離(45-120cm) ふれあい と会話
社会距離(120-370cm) 情報交換
公共距離(370cm以上) 一方的、形式的コミュニケーション
(エドワード・ホール『かくれた次元』みすず書房、1970年)
密度:ゆとりをつくりすぎない(p59)
「人は人のいるところにやってくる」スカンジナビアの格言(p73)
柔らかいエッジ:狭い間口、多くの戸口、垂直に分節されたファザードは方向体験を濃密にする。1階で行われる活動と街路アクティビティとの機能的相互作用がアクティビティに重要な影響を及ぼす(p87)
現状は、自動車のための十分な空間:交通標識、パーキングメーター、安全柵、街灯、「通行妨害禁止の標識」など障害物が狭い歩道にあふれる+暗い地下歩道、高架歩道橋、信号の長い待ち時間、横断しにくい街路、=頻繁に歩行のリズムをかき乱す(p99)
1960年代のヨーロッパと現代の日本では、自動車街路と歩行者街路しかない。現在の欧州は、人間的次元を出発点に、
自動車専用街路、緑陰街路、時速30km制限街路、歩行者優先街路、時速15km制限街路、歩行者・路面電車専用街路、歩行者・自転車専用街路、歩行者専用街路
⇒「共存空間」にすれば事故の危険性を低減できる。
安全だけに注意をはらえば、町の品格と質の面では大きな代償をはらう。子どもたちは行動の自由を奪われ、高齢者や障害者は歩くことを断念するかもしれない(p101)
コペンハーゲン方式の自転車道は、駐車中の車列によって自転車利用者が保護されるhttp://dktg.info/midochari/?p=4496(p102)
徒歩と自転車は都市空間を占有しない
徒歩[3.5m+3.5m]の歩道 2万人/h
自転車[1m+1m]の自転車道 1万人/h
自動車[3.5m+3.5m]の車道 1000~2000台(1300-2600人)(p113)
人間の尺度に配慮した都市計画の出発点:人々が歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話すのに適した条件を備えなければならない。(p126)
うんざりするような眺め:歩き始める前に全部が見渡せる(直線、平面・登り、単調)(p135)
地下歩道と歩道橋は過去の哲学の産物である(p140)
誘引を強化して、人びとが都市空間で長い時間を過ごせるようにする。少数の人でもその場所で長い時間を過ごせば、多くの人が短い時間しか過ごさない場合に比べて、遜色のない活気を与える。⇒活性化!(p240)
目の高さの街に必要なもの
保護:交通安全保護、犯罪からの保護、天気・汚染・騒音からの保護
快適性:歩き、たたずみ、座り、眺め、話し、遊ぶ
喜び:人間的スケール、良好な気候を楽しむ機会、樹木・デザイン・文化景観
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