庁内合意形成
人口激減、財政再建:職員数削減の過疎自治体で、住民連携で地域資産を活かし、官民連携による外部投資を呼び込むプログラム推進を提案するとき、阻害要因は3パターンある。
①職員数削減、経費削減のみに執心し、将来まちづくりに取り組めない組長
②多様な市民活動がバラバラで、連携したまちづくりに関心を持たない住民
③少ない職員数で仕事が手いっぱいで、新規事業、ドラスチックな改善策を避けたい職員
A市長は、国の大規模プロジェクトを活用して、新しいまちづくりを進めようとするが、住民の動きが見えない(②)、職員が動きづらい(③)という課題があった。
A市長の依頼で、現地に入り議論したことがある。
A市長は、思いが強く、突然外部の講師を呼んでは、職員が戸惑う、市長が浮いてしまうこともあると聞いていた。私も、その外部講師の一人かもしれない。
最初に幹部職員と議論した。幹部職員から住民連携や官民連携への疑問が出された。一つ一つに答えつつ、職員ワーキングを作り、専業のWGリーダーを置くことを提案し、A市長の判断で決定した。
次に、多様な活動住民を集め、活動とまちづくりへの意見を伺った。ひとつひとつの活動の尊さ、まちへの思いのポイントを整理し、人口激減の今こそ、連携した新しいまちづくりビジョンを練り上げ、連携した活動が必要であることを指摘した。私は「子ども達が住んでみたい町にしなければ、皆さんの活動のみならず、本業の仕事そのものが、意味をもたないのではないか」と、まちづくりの必要性を説いた。この会合には、関係する多様な部局の職員も出席し、住民の盛り上がりを目の当たりにした。
事後の懇親会には、A市長も、市民・職員も出席した。宴の途中、職員数名がスーッと消えた。見ると、隣の部屋で立ったまま鳩首会議していたようにみえる。緊急の案件が突発したわけではなかろう。実は、住民の「何かできそうだ」「やってみよう」という盛り上がりこそが、「突発状況」だったのかもしれない。
専業WGリーダーと庁内横断WGが決まり、住民の盛り上がりを前に、疑問を呈していた幹部職員自らが、他の職員に「後戻りできない」状況を説明し、プロジェクトをすすめる意識統一をしていたのかもしれない。
役所組織には、新規事業に慎重で果敢にA市長の暴走を抑えつつ、一方で住民の盛り上がりに臨機応変に動く、慎重かつ勇気ある幹部職員が必要である。
これまで、役所と住民との関係で苦労してきたまちづくり活動の中心住民の一人が独り言を言ったそうだ。
「今回は何かが良い」
皆が意識をあわせ、能力を発揮する、コーディネーションとは、このようなものである。
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