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2014年12月13日 (土)

岬のカフェと道の駅枇杷倶楽部

吉永小百合の映画「不思議な岬の物語」の舞台、千葉県南部の岬カフェと、道の駅の地域核モデルのとみうら枇杷倶楽部を訪問し、学ぶことが多かった。
 岬の小さなカフェは、丁寧にいれたコーヒーと音楽、客との個人関係を大切にする経営で、ファンが映画になる前から多かった。私が行ったときも、映画を見て来た人もあれば、常連客が映画のお祝いで来ていた。「ところでTさん、どうした。よく来てたのに、20年ほど来ないね。映画になったから顔を出したと思ったのに・・・」という、映画のような人間関係が彷彿とする会話があった。趣のあった前の店が火事で消失した後、プレハブの新しい店で再建に協力してくれたのも常連さんだったという。
 難しいロケーションであっても、それほど儲かる商売でなくとも、丁寧な人間関係とそれを取り結ぶコーヒーと音楽が、岬の景観にとけこめば、人と人を結ぶカフェは続いていく。パティシエの姪が、都会から戻ってカフェを手伝っていた。K1506595281_4
http://www.kanshin.com/keyword/1389783

 さらに南、南房総市富浦には、道の駅とみうら枇杷倶楽部がある。
 地産地招をうたい、地元の枇杷のB級を加工して、ビューレ、スライス、シロップ漬け、枇杷葉茶などを商品化し、花摘み、菜の花摘み、苺摘み、枇杷園などを商品化して、エージェントに、観光バスごとに一括受発注できる体制を作った。農家は、現金処理せずとも、少量でも観光農園ができるようになった。こうして、地域の枇杷という特産を保存し、観光農園を育て、地域での人形劇、茶論(サロン)、地域ウォッチングに展開している。道の駅が、地域の人と人、農業を結びつける核になっている。結果、夏の海水浴に集中していた宿泊業と、外国との競争にさらされ、経営が危うかった枇杷産業が守られた。
 今では、道の駅を中心に、枇杷加工品と、平準化された入れ込み客によって、地産地招として地域の経済が安定しつつある。Img_0003_3

人口減、衰退する地方のなかで、良い話などどこにもない。しかし、できないできないと嘆くのではなく、目の前の人間関係、足元の産品をみつめ、皆で語り合い、丁寧な関係性をつくることでしか、展望はない。話し合って努力したからといって、うまくいくとは限らないが、手に手をとって、動き出さねば始まらない。
 千葉県の南端で、これからの地域づくりで、一番大切なことを学んだ。

 

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