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2014年5月24日 (土)

矢島隆「街路構造令40年の展開(その2)」『都市と交通』79、日本交通計画協会、2010年

1919年制定の内務省令に街路構造令があった。旧道路法では、都市間連絡の道路よりも、都市内道路である街路の方が優位(?=より余裕をもった設置基準であり、都市内ではより尊重された[森栗補足])で、緑の広幅員歩道、緩速車道・自転車道の規定があった。優れた街路構造令があったのである。
 戦後、自動車行政・交通行政が異なる省庁になったため、1958年に政令として道路構造令により一本化された。それ以前は、街路構造令によって関東大震災復興、戦災復興で、豊かな道路環境を残してきた。
 1917年、
自動車7千台、荷車1936千台、荷牛馬車244千台、自転車420千台、人力車126千台
 1924年、
自動車40千台、荷車1963千台、荷牛馬車393千台、自転車4597千台、人力車77千台
 1933年、
自動車157千台荷車1596千台、荷牛馬車401千台、自転車6895千台、人力車23千台
 という状況下では、緩速車道を基本とし、必要あるときは高速道(3m)、自転車道(1m)を置くことができる(第3条3項)とある。戦災復興街路計画では、緩速車道に自転車通行空間を含んでいた。
 ところが、1956年に名神高速道路を提言したワトキンス報告では、「道路上で交通はたえず自転車、歩行者、および荷牛馬車により阻害され」ていると指摘されている。
 これを受けた1958年の道路構造令は、車道幅員を自動車の設計交通量と関連して規定し、自転車道は書かれなかった。緩速車道の広幅員のなかに、自転車も荷車も入れ込んだ。
 そして、第8条に「緩速車道は車道の各側に、分離帯によりその他の車道の部分と分離して設けるものとする。緩速車道の幅員は、3.5m以上とする」とある。
 車道と植樹帯で分離した緩速車道で、荷物の積み下ろしをし(必要幅員2.5m)その脇を自転車が通れ、となった。自動車を中心とするので、他は停車帯を含む別なところに移れというのである。
 しかし、さらに「自動車交通量が大きくなって交通容量を越えた場合は、当然高速車道の幅を増加しなければならない」と、教科書に書かれた。結果、都市は高速自動車であふれて渋滞し、無料駐車帯が流れをせき止め、自動車使用マナーを自己中心・個人消費に落とし込み、日本の都市景観を劣悪なものにしてきた。
 さらに、1970年改正道路構造令では、
・増大する自動車交通に対処するため、緩速車(自転車)を本線上から分離し、高速の自動車の車線主義による復員方式に改めた。
・自転車歩道を新設し、歩道を自転車が走れるようにした。(道路交通上は歩道扱い)
・市街地道路には原則として停車車帯を設けることになった。
・1級道路の設計速度を60km/時に引き上げた場合、車線の幅を3mから3.5~3.25mに広げることを要求した。
 この基準の先導的モデル:1955年整備した姫路城前の幅員60m×830mシンボルロードなどでは、1888年には、都市美観観点×自動車交通対処から、緩速道が廃止されて、両側14.625mのw並木の歩道になっている。Img
 こうして失われたのは、自転車の空間であると矢島氏は指摘している。だから、自転車等の復活をというのである。
 しかし、自転車道欠落は、道路構造令欠落の一部結果であって、全体ではない。

道路構造令の哲学は、
・自家用自動車中心主義
・計量効率主義、分類機能単純化
である。高度経済成長、自動車急増時代に、この哲学と技術が日本社会に多大の貢献をしたことは認めねばならない。
 しかし、現今の成熟社会で、自動車保有数が伸びない、シェアなど多様な移動手法、情報通信など多様な消費動向、健康志向と地球環境を考えたとき、道路のあり方も再検討する必要がある。
⇒人・暮らし優先で、所有のみならずシェアの多様なクルマ・自転車も活かした
⇒総合的まちみちづくり(複合的生活機能)
が求められている。
 具体としては、
・超小型電動自動車・タウンサイクルシェア
・バス・自転車・タクシー複合専用レーン(仏国のような)
・そのための、道路空間の再構成とそのための公物管理と公物警察とのおりあい法整備
・そうした制度を地域デザイン、地域コミュニケーションに移すためのマネージャーの制度化、予算化が必要
と考える。
 こうした道路空間再構築に於いて、電柱地中化、協働の修景整備などが平行して求められている。

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