アセットマネジメント、集落維持と道路、台湾アミ族
「運輸と経済」73-7,2013,座談「交通社会資本の維持管理に向けた課題」、小林潔司「アセットマネージメントと国際標準」が面白い。
『荒廃するアメリカ』は1980年台のアメリカで、橋などのインフラが倒壊する現状を描いている。日本の社会資本整備は、アメリカよりも30年遅れているから、2010年代の今日、笹子トンネル崩落事故のような課題が課題となり、上記の議論がなされている。また、過疎地の道路縮も議論されている(7頁)。
アセットマネジメント(最適化)には4つのレベルがあると小林は指摘する。
【事例】過疎地の奥に80歳の単独世帯が数か所点在する谷。住民は元気に田畑を耕し、そのおかげで、水や山野の管理ができている。田畑、家畜があり、集落統合できないが、道路、電気、水道、さらには乗り合いタクシーなど移動手段、医療などの維持コストに、自治体などが窮している。ある時、集中豪雨で山津波が起き、普及の膨大な投資と時間がかかることとなった。
◆無戦略…激甚災害法適用で、国予算でとりあえず復旧。被災高齢者は、仮設住宅3年。その間に、環境変化のために半数が亡くなる。他の人も、新たな家を谷に作れず、結果、道路と電気はついたが、人家はなくなった。
◆戦略レベルstrategy対応
災害で破綻or高齢化で破綻 に関わらず、希望のある再生、誇りある暮らしを、人々から傾聴する⇒それを活かした再生 ex.ダムで潰される危険個所にある台湾アミ族の村が、移転反対運動をおこした。延藤安弘が、人々の声(風のそよぐ村、子どもの声が聞こえる、田畑が耕せる)を聞いてまとめあげ、それを活かした住宅再生を行った。
人々はなぜ故郷にこだわるのか。不安はないのか。普段から、私発の思いを聞きだし、協働することが行政計画には求められる。
◆戦術レベルtactics
集落がもたない 可能性が高い村への道は、無理せずどうぞこうぞ維持していく。声を聞いて、安全にしておく。
◆実施レベル
福祉、医療、集落の今後など、総合的に地域の思いをヒアリングすることから始めねば
モニタリング/機能評価、PI(Public Involvement)やパブコメも形式的な作業にしてはいけない。もっと、人々の思いを集める手法が、住民と建設業者、行政の協働課題だ。
日本の要素技術偏重は、技術は一流だが、総合化が困難
しかし、総合化のケーススタディを重ね、道路輸出と維持技術、さらには地域メインテナンスをパッケージで輸出し、しなやかな国際標準化をつくらねばならない。
基本計画・ ISO5500X、HDM4の工程管理とは異なる、総合地域メネージメントのなかの道路管理、地域の血管としての道路を考える手法を確立せねばならない。
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