生活学会今和次郎賞延藤安弘先生、受賞スピーチ+越境する生活学、
「ユーコート物語」が今和次郎賞を受賞した。
先生は、共同居住について、以下の4点を指摘された。
⑴ 生活者イニシアティブ
⑵ 活き活きした、ときに対立があっても、ワープでショックを乗り越える(ワープショップ)、アリバイ作りのワークショップとは違う強さ
⑶ 専門家も、共に学ぶ姿勢
⑷ 物語をナラティブにつむぐ
私は、これこそ、頭文字をとって、生活学物語だと、思った。
そのためには、個々の学問領域を越境せねばならない。シンポ「生活学とその周辺」は、予想以上に面白かった。学問越境の面白さ、こわごわした越境の楽しさが示唆され、生活学会名誉会員石毛直道先生が、その学的可能性をコメントされた。
生活学って、ひょっとして学ではなく、多様なアプローチ(学問)を現実生活・人間主体の物語に紡いでいくムーブメント・運動なのではないだろうか。
実は、戦後の寝食分離運動、団地まどり2DKを作った西山卯三の京都大学の助手が延藤安弘で、さらに戦前、西山を同潤会で農民生活研究の指導をしたのが、生活学会創始者、今和次郎なのである。
私たちは、生活学物語をめざして、個々の領域を越えていかねばならない。
交通問題だって、生活課題であり、地域独特の物語の中にある。そういう意味では、民俗学なのだ。
旧知の菊地暁さんも『今和次郎 日本の民家再訪』で同時受賞したが、彼は私の名刺の「協働型まちづくり 地域移動計画 はなしあい学 密かに本当の民俗学」という表題を見て、
「本当の民俗学なのですね」と、言ってくれた。嬉しい。
「エセ専門家」と、土木計画学会で罵倒され、学内では「薄い」と、個別専攻から授業の単位認定を認められず、民俗学会は離脱状態の私である。越境をするということは、苦難の道を行くことである。にもかかわらず、日本各地の生活を守り、生活物語を唱導する義務が、私にはある。世のため人のため、語らねばならない、物語がある。
全国を、まちづくり絵本片手に、幻灯会をしつづける同志:延藤先生と、私の民俗学への思いを受け止めてくれた数少ない民俗学者菊地さんの、今和次郎賞同時受賞を祝う、楽しい生活学会大会であった。
朋あり、遠方より来る また楽しからずや
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コメント
エセ専門家と罵倒されはったこと存じませんでした。
自分のモデル式と現実が合わない時に、現実が間違っていると語る専門家の言うことなど気にしない気にしない。
専門バカとバカ専門ならバカ専門になりたい私でした。
投稿: つどい | 2013年6月 4日 (火) 08時45分
本ブログ4月21日に、関連するフィクション小説をあげています。想像力たくましく、参照いただければ幸甚です。何か、「白い巨塔」の姉妹編のような。
ご心配いただき、感謝申し上げます。
投稿: 森栗 | 2013年6月 5日 (水) 14時35分