続 渋沢栄一『論語講義』
渋沢栄一ほどの実践者が解説する論語は、自分の人生経験を通じて、心に沁みとおるように理解できる。
何を寝言をと言う人があろうが、自らの心の内を問いただしていただきたい。どれだけ、崇高な理論も計算も、皆、人が引き起こしている。その道理をわきまえずして、君は何をしたいのかと渋沢は問うている。 引き続きメモする。
■子曰、これを知る者はこれを好むものに如かず これを好む者はこれを楽しむ者に如かず
【森栗の思い】森毅流にいえば、「正しいこと(知)は伝わらない。おもろいこと(楽)はひろがる」。交通政策も、鉄ちゃん的な興味や人材を活かすことが大切だが、もっと大切なのは、人々が楽しくなってくるような、希望と誇りで笑顔が出てくるようなことをせねばならない。楽とはとらわれない心から出てくる。
■子曰、道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に遊ぶ
《講義》徳とは、自分自身に満ち足りていて外に期待しないこと(韓退之『原道』)。
仁とは、広く他人へ幸福を分け与えようとする心情。
しかし、如何に徳人、仁を得た者といえども、自分のペースを失う。政治家は政治にとらわれ、学者は学問に溺れる。世を憤慨する人は憤慨にとらわれる。だから、芸(趣味)をちゃんと持つことが大切なのだ。
■顔淵、仁を問う。子曰、己に克って礼を復フむを仁となす。一日己に克って礼を復めば、天下仁に帰す。仁を為すは己に由る。而して人に由らんや。顔淵曰、その目を請い問う。子曰、非礼視ることなかれ、非礼聴くことなかれ、非礼言うことなかれ、非礼動くことなかれ。
《講義》人間の行動には、感情に流され理性が削がれることが多い。平和にバランスをとり、道理にあうようにすることが礼だ。
【森栗の思い】多様な欲望と理性とを、社会で融合させる、すなわち礼をつくすのが協働のまちづくりであり、あまねく人々の幸福を求める仁を実践すれば、すべてうまくいく。それは自分の努力如何による。身に余るが、できるだけやってみようと思う。
■子曰、命を知らざれば、以って君子となることなきなり。礼を知らざれば、以って立つことなきなり、言を知らざれば、以って人を知ることなきなり。
《講義》人には必ず天命がある。それを知る努力をしないといけない。礼をわきまえることを惜しんでならない。言をもって人を見なければならない。これは難しい。
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