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2013年4月 3日 (水)

ガバメント2.0、プロシューマー協働のまちづくり

4月1日NHKクローズアップ現代で、スマホ利用の新しい住民協働の試みが報告された。
 米国フィラデルフィア市では、街角の広告やバスに町の課題を提示し、選択肢を設け、アプリTextizenで回答して市民意見を集める試みがなされている。わざわざタウン・ミーティングを開かなくても市民の意思が集められるという。
 また、道路破損、落書きなど、課題箇所を、市民がスマホで写真に撮りphillyというアプリを使ってショートメッセージで役所に送るだけで、課題解決が即できるという。
 また、AED利活用可能者を全米5人登録し、心筋梗塞等事故が起きたとき、救急より先に付近のAED利活用可能者がかけつけるアプリが開発され、カリフォルニア州サンノゼでは実用化されているという。
 日本でも、千葉市では、Fix my streetというアプリを使い、道路を含む公共施設の破損個所を通報させ、市民ボランティアに修理を依頼しているという。
 プロゼンター(行政)とコンシューマー(サービス受給者)が分離するのではなく、プロシューマーの時代だという。
 しかし、市役所内部では、
▲もし、いたずらの通報が増えたらどうするか
▲市民が修理して、修理不善のために事後に事故が起きた場合の責任をどうするのか
▲そもそも、役所依存の意識が変わっていない市民に、どう意識を変えさせるのか
 との、疑問が呈された。
これに対して、ゲストの多摩大学の先生は、
・役所が全部する既成概念で後ろ向きな発言はするな。世界の民主主義の方向は、スマホを使った直接参加に変わっているのだ。
・日本は、相互助け合いの国だ。働くという日本語は、傍(はた)を楽させることだから、この手法はうまくいく。
と、たたみかけた。

 3月13日ブログで指摘した、ヒューマンファーストによる「バス停にクルマを停めることを厳禁し、住民の通報・写真による注意・警告・厳罰を行う」との記事の具体かもしれない。
 しかし、これには異論も寄せられている。そもそも、最も効率的な住民協働は、スマホと盗聴器を持った大日本愛国婦人会である。100%異論なく、一億一心鬼畜米英殲滅…。スマホを持った北朝鮮体制引き締めには効果的。もっともな、異論である。
 アプリがあればすべてが解決し、それに違和感を持つ者は世界から遅れているというのは、ちょっと違うのではないか。
①集められた情報をトリアージしたり、峻別判断し、問題通報者(無意味クレーマー)をリストアップするマネージメント必要。
②ボランティアで補修は、続かない、責任が持てない。協働事業として、市役所が委託金を出して、コミュニティビジネスとして委託せねばならない。市民はそれを担う組織をつくらねばならない。(大阪市はそれをすすめている)。つまり、行政改革がなければ、この事業はできない。
③そもそも、こうした市民協働によるインフラ管理の目的、手法の法的整備を行う必要がある。また、全体のプロデューサーも必要である。

それなしに、アプリがあれば万能、欧米では進んでいて日本は遅れている、既成概念で後ろ向きな発言はするな…
 この手の識者の、まくしたてには疑問を持つ。アプリよりも、まずは大阪のように徹底した行政改革をすすめ、その上で条例等の整備をし、市民委託等の契約条項も見直し、区役所への分権も行い、その上で、こうしたアプリを使った手法が活きてくるのではないか。
 アプリとボランティアだけで、世の中が劇的に変わるというのは怪しい。民主主義は、人と人とが制度(法)のなかで社会改革していく地道な作業だからである。事業(ビジネス)とは、そういう地道なマネージメント作業なのである。人の手配、カネの手配、事業の手配、気配り、心配り・・・
 人の道は重き荷を背負い、遠き道を行くが如し 急ぐべからず

 

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