交通権ではなくヒューマンファースト、道路縮減ではなく道路マネージメント
民主党政権で交通基本法が議論され、交通権が議論された。しかし、権利としてしまうと、あまねく保障せねばならなくなり、財源問題につきあたる。また、徒歩者の権利と、自動車利用者の権利、徒歩者と自転車の利益相反につきあたる。結局、交通権は明確化できず、法制化せぬまま、民主党政権が先に終わってしまった。
一方で、人口減社会における道路縮減、極論では集落統合を言う工学者もいる。これも正論かもしれないが、現に住民が居るのに、「一人だけですから、カネもないので明日から除雪しません」「お婆ちゃんが居るおかげで電線も水道も道路もコストがかかる。集落統合して役場の隣に住んでください」とは言えるだろうか。
できない正論という意味では、普天間県外移設、高速道路無料化、農家最低保証、子ども手当…。民主党政権は、あまりに稚拙な書生正論の、おおきな「社会実験」だった。友人の議員も多いので、いささか厳しい評価だが反省して欲しい。
暮らしや社会は、正論では人は動かない。正しい権利だけを主張しても、できない論理とデッドロックになる。みんなが、腑に落ちる、納得するような、話合いを続け、そのプロセス重視の政策をとるべきであろう。
難しい交通権、道路削減を無理やり通そうとすると現実が通らない。むしろ、ヒューマンファーストを基本に、コミュニティと議論をすすめ、現状の道路や公共交通を見直すことが重要ではないか。交通権という原理主義ではなく、ヒューマンファーストという原則で論議していくことが重要である。
じっくり議論して、ヒューマンファーストの原則に基づき、
・2車線の道路の片方を自転車・バス・タクシー専用道とする
・路肩を自転車道として、駐車を厳禁・不能なようにする。
・バス停にクルマを停めることを厳禁し、住民の通報・写真による注意・警告・厳罰を行う。
・商店街や密集地でのゾーン30を一般化し、原則30km/hに原則、配送車・買い物者は、商店街に停めない。
・駅前広場は、町への徒歩結節を第一とし、次に自転車、次に公共交通、脇にタクシーとし、タクシープールは、別に配置する。クルマ送迎は、障害者用以外は遠くに。障害者用に停めたら、住民の通報・写真による注意・警告・厳罰を行う。
などを、議論して決めていく。
こうした方向で、交通基本法は見直すべきではなかとうか。
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コメント
いつもオピニオン、有り難うございます。
今回は、賛同7割、違和感3割です。特に通報の勧めについては疑問大です。駐車違反の減少は交通警察の大きな成果だと思います。
ただ、住民に通報を勧めることで、自分たちの責任と意思決定とまちを愛する気持ちを薄くすることに繋がることになるように思います。取り急ぎの感想です。
是非、思考を続けオピニオンの発表もお願い致します。
投稿: 月台 | 2013年3月15日 (金) 08時20分