自動車交通量とコミュニティ衰退:リバプールストリート
ドナルド・アップルヤード@カリフォルニア大学『リバプールストリート』に、サンフランシスコの3つのコミュニティが描かれている。
街路 |
日クルマ通行量 |
ピーク1時間通過台数 |
一人当たりの友人 |
一人当たりの知人 |
コミュニケーションの場所 |
A |
2000台/日 |
200台/時間 |
3人 |
6.3人 |
15ヶ所 |
B |
8000台/日 |
550台/時間 |
1.3人 |
4.1人 |
4ヶ所 |
C |
16000台/日 |
1900台/時間 |
0.9人 |
3.1人 |
3ヶ所 |
自動車交通の少ないA街路の住民は、近所づきあいの導線が車道も含め網の目状になり、立ち話や遊んでいる点が点在している。街路Bでは、導線は残るものの、立ち話の点は消えてしまう。ピーク時、自動車が32台/分通る街路Cでは、つきあいを示す線がまばらになる。そうして、友人がAの1/3、知人が1/2となり、A街路の人が思う「我が家みたいな街」という感覚は消え、「引っ越したいと考えている」「すでに多くの人が引っ越した」という人が現れる。
最近、昔住んでいた、駅から徒歩20分、皆、クルマで出かけるニュータウンを訪れることがあった。私も含め多くの人は引っ越し、子供は戻らず高齢化し、地価は下落し、小学校は閉校直前。相互に不信があふれ、街路には「不審者注意」の看板が林立する。クルマ移動を前提にすると、自動車交通量が減っても、屍のような街になっていた。
ことは、都市住宅学がいう、リノベーションや住宅住み替え融通が難しいだけの問題だけではない。自動車とコミュニティ・コミュニケーションの問題を考えなければ、何も解決しない。
| 固定リンク
「交通を活かしたまちづくり」カテゴリの記事
- ストック効果と社会的共通資本に対するコモンセンス(2016.11.08)
- 宮本常一、酒と歩み寄り、篤農家、そしてバラバラに出稼ぎ(2016.09.20)
- 蟲明先生にお話を伺う(解釈意訳)(2016.08.09)
- 住民主体と民間主導 蟲明眞一郎(2016.08.07)
- 住民主体のまちづくり 蟲明眞一郎(2016.08.07)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント