補助金と中山間地活性化
淡路島の北端の山間に、そばカフェを成功させた段々畑の村がある。先日、特区の日産の超小型車実証実験の事後ワークショップで伺い、今後の地域移動について議論した。
事後、そばカフェができるまでの補助金の使い道をななましく聞いた。
5年前、水環境向上対策の補助金 x00万円で、地域活性協議会(ネットワーク系)をつくり、水車小屋を作った。水車職人がいたので作りたかった。水車を作ったら、何を製粉しようか?と蕎麦を撒いた。村の人全員に、年越しそばを配った。蕎麦の白い花が美しいので、蕎麦の花祭をした。すると、どんどん人が押し寄せた。毎週末、何もないこの村に人が押しよせる。そして、村の棚田を見て感動して帰っていく。
翌年、中山間地直接支払い制度 x500万円が入ったので、蕎麦カフェの施設を作った。
ところが、噂が噂をよび、蕎麦花祭には、ガードマンを出してもどんどん車が来る。入口を閉鎖しても、村の人が歩いて来ずに車で来て、始まる前から路上駐車。
この村は、集落が段々畑のなかに分散しており、なかなか意見がまとまらない。しかし、蕎麦の事業が動き出してから、協力関係ができてきた。とはいえ、蕎麦花祭のときは近隣に迷惑をかける。救急車も入れない。会場近くの住民は、出かけることもできない。一方で、自分は活性化に参加せず、不満だけを言う人もいる。反対の人もおり、異論が出る。このままだと、活性協議会の仲間も、イベントでの車の処理、住民からの不満に疲れ出す。
私は「せっかくの活性化も、【疲れ派】と【迷惑派】【何もしない不満派】が連動して、難しくなることもある。今から、イベント時の車対策をコンサルさんの手もかりて、きっちりとする必要がある。今日来た、中央復建のYさんは、この件ではとくに有能なので相談しては?」とアドバイスした。
通常、こうした補助金は、集落ごと山分け。または、村の神社の補修、道路の補修に使うことが多い。ほとんど使われない「活性化センター」になる場合もある。蕎麦カフェのような、ネットワーク的な活性化活動、本当の活性に使うことができるのは、リーダーの資質による。通常は、地縁組織にネットワークが潰され、個人で山分けという場合も少なくない。
集落や環境を維持する村に補助金が行くのは当然だと思う。しかし、それを分ければ、結局、どこにいったかわからなくなる。村でまとめて、かつモノではなく、本当の活性化につなげるには、夢と知恵が必要だ。リーダーが、「水車が作りたい」「蕎麦を植えよう」「蕎麦花祭をしよう」「蕎麦カフェにしよう」と夢を語り、全員に年越しそばを配るように、多様な村人全員に配慮していけば、村は大発展する。リーダーは、村人の心が離れないように、持続する活性化のために、イベントの車対策をしっかり考える必要がある。
車ほど便利で、かつ利害が相反するものはないからだ。
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