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2012年8月 6日 (月)

個人的なことですが、母の往生

去る平成24年7月26日、母は、急性心疾患のため、自宅にて安らかに永眠しました。享年満82歳でした。晩年、優しい二人の嫁に囲まれ、楽しい日々を過ごし、思い残すことなく、最後まで「誰の世話にもならん。病院や施設の世話にはならん。私はどっこも悪いところはない。薬も必要ない。杖もつかない」(本人の口癖)と言いはり、3つの朱印帳、朱印に染められた経帷子をまとい、見事に旅立ちました。
 母の賀状・住所録などから、ご連絡申し上げましたところ、
新婚をすごした新長田の長屋の隣人、ダンロップの同僚、仮設住宅の隣人、川柳の友人、復興住宅の隣人、みな皆様から、温かい言葉をいただきました。なかには、高齢を押してかけつけていただいたり、出勤前のご子息にご会葬いただきました。本当にありがとうございました。
 産湯を使った瀬田の皆様には、いつも「きーちゃん」「きーちゃん」と温かいご支援をいただいておりましたが、今度も遠いところをお運びいただき恐縮です。昭和34年、父の急逝以後、常に庇護していただいた父方親類のみなさま、暑い中、本当にありがとうございました。
 小さな家族葬でしたが、長時間にわたり、皆様の温かいまなざしを頂戴し、ほのぼのとした時間を過ごすことができました。
 本当に感謝の念でいっぱいです。

この葬儀には、不思議な縁が多々ありました。
 茂一夫婦は、心臓の薬や手術を拒絶してきた母に、はやめに東京にいる子供たちをあわせておこう。高齢のつれいあいの両親にも合わせたい、病身の叔母にも会わせたいと、8月18-20日、予定を組んだところでした。きっと、「そんな短時間ではだめだ、子供たちの将来も含め、家族でじっくり話し合え」という故人の意図ではなかったかと思います。ちょうど息子もやけどをしており、オーディションやアルバイトも中断しており時間がありました。切って貼ったようなタイミングです。
 19日:弟夫婦による食事会、22日:私ども夫婦による食事会とお盆のお供え持参を見送った後、時期を計るように息をひきとりました。22日には、父・茂の仏壇に向かって「こんなことをしてくれる息子はいない。ありがたい」と報告しておりました。今まで、「もう50回忌もすんだのに、拝まなくとも…」といっていたのに、突如として、不思議な言葉を残していきました。
 弟の晩年の結婚を喜び、満面の笑みを残しました。それが遺影になりました。弟への心配もなくなり、私にも最後の「感謝」を口に、やるべきことをしっかりやって旅立ちました。
 そもそも、遺体搬送を依頼した自動車がたまたま平安祭典で、彼女が積み立て金を用意していた冠婚葬祭が平安会館で、その会場が下沢通、私の入園式・入学式に来た兵庫北部幼稚園・中道小学校の近くというのも、できすぎた話です。
 確かに生前の母の言っていたように、病院や施設、ヘルパーや薬や杖にいたるまで誰の世話にもならず、誰にも負担をかけず、私ども兄弟、親子のコミュニケーションの時間を充分与え、瀬田や森栗のみなさまとの厚誼の場を提供し、母はみごとに逝きました。
 誠に、あっぱれな母でありました。
が、それもこれも、皆様のご配慮、ご慈悲あってのことであります。
 若干の病気もあり、皆様には多々ご迷惑をおかけしたことと存じます。どこまでが病気で、どこからが、もともとの性格なのかわからないこともあり、手前どもも苦慮してきました。深くお詫び申し上げます。
 とはいえ、母の見えざる配慮を思うとき、皆様のご厚誼、ご支援あっての我々であり、小さな兄弟家族、助け合って暮らしていかねばならんことを、改めて思い知りました。

凡夫には生老病死、事故や災害、カネの不安、家の永続の不安、人間関係の怨讐、煩悩がつきまといます。四苦八苦です。事故で打ちひしがれ虚無に陥ることもあります。何が何でも家を守らなきゃと思って苦しみ、子供に多大の負荷を与え、相互誤解が広がることも多々あります。それは悪気のある話ではなく、人が弱いからです。
わたしたちは、周りの人に支えられて生きており、それに感謝しつつ、目の前の人間どおしが、支えあい、じっくり話し合って、暮らしていかねばならんと、最後に母から教えられました。激しい気性の面もあり、これまで母に絶句し難儀したことはあっても、母を尊敬したこともなければ、逆に褒められたこともありませんでした。が、私たちは、最後の最後に「喜んでももらい」「褒められ」ました。そして、最後に気づきました。
なんと偉大な母であるか。

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コメント

素晴らしい記事、拝読させていただきました。深く感じ入りました。
ご母堂様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

投稿: 土井 | 2012年8月 7日 (火) 08時37分

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