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2012年8月15日 (水)

コンパクトシティ富山の次の一手の試案

 富山市は日本のコンパクトシティの成功モデルであり、富山ライトレール・高山本線30分ピッチなど交通まちづくりの先端である。さらには、環境未来都市の指定を受けて、発展しようとしている。OECD「コンパクトシティ報告書」(2012年)でも、公共交通の質の向上×中心市街地の魅力創出により、民間投資を引き出す効果的な公共投資が行われている世界5代表都市として、高い評価を得ている。わが国でも、公共交通を中心とした「串と団子のまちづくり」を称賛する声は多い。
 しかし、自動車普及率全国第2位、1.72台/軒(自動車検査登録情報協会:H23)であり、普通車普及率が1990年比1.4倍(2010年:全国は1.2倍)、軽乗用車普及率は同7.6倍(全国6.4倍)である。パーソントリップの72.2%が自動車、通勤にいたっては83.8% が自動車、凄まじい自動車消費拡大都市、自動車依存社会である。 

■課題1 行政コスト(除雪、道路清掃、公園管理、下水道管渠管理)が増大。市街地が広がり行政コストが2500円/人(H17)から2800円/人(H37)に増大

■課題2 自動車が使えない市民が29.5%に増大

■課題3 中心市街地の衰退

 中心市街地夜間人口:5.2万人(1963年)→2.4万人(2004年)0.46

 中心市街地駐車場面積 27.1ha(1992年)46.1ha(2004年)1.7

自動車の普及により中心市街地(市街地の23.2%)の地価が下落する。結果、都市計画税[税収の4.6%]、固定資産税[41.2%]が下落する可能性。さらには、都市のアイデンティティ喪失の危機。
 この対処手段として、

▼手段1 上下分離(線路は富山市、経営は民間でランニング黒字をめざす)型LRT整備(富山ライトレール・中心街環状線セントラム

▼手段2 高山線増発 臨時駅、P&R
 
第一期社会実験(H18/10H20/3)富山―猪谷間 貸切列車により30分ピッチに
 
第二期社会実験(H20/3-H23/3) 富山駅―八尾駅間 の可能性を探る
 
活性化事業(H23/3- 通勤や昼間の需要・定着状況を見ながら可能性を模索
●課題解決1 沿線まちづくり

問題解決1-1 公共施設等の沿線建て替え・新築 病院の鉄道沿線移転建替え

問題解決1-2 公共交通沿線居住推進(13路線3500ha)H37沿線人口42%
●課題解決2 おでかけ定期券

65歳以上1000円/年でICカードを発行し、都心⇔各地、都心→都心のみ100円)
●課題解決3 都心創造事業(436ha)

・手段「お団子と串」は未完。越中東線バス専用レーン、連接快速バス化、幹線バスLRTデザイン。第一期はIC経由空港まで。
・空港に、P&Rスパー結節点整備
・おでかけ定期は、若者移動促進に活用。バン・軽トラなどを含む中古カーシェア。過疎地空家居住促進。
・ワークライフバランス、若者雇用、若者定住促進、子育て支援、終身雇用など安心して暮らせるまちづくり。
・協働によるコミタク・グループタクシー・デマンドなどのフィーダ整備と公民館遊休施設やコンビニを活用したローカル結節点整備
・バスも含めた移動検索とEチケット発行、都心端末整備などのビジネスモデルとキャリア公募、地元IT企業とJV

など、課題解決はこれからである。

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