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2012年7月28日 (土)

危機に瀕する明智鉄道

 岐阜県の恵那市に明智鉄道というローカル私鉄が走っている。明智は尾張⇔信濃の塩・絹輸送の中馬街道の要所で、養蚕で栄え、日本初の町営水力発電所を運営し、蔵と石畳、多くの洋館を残し、1984年立村、「日本大正村」として有名になったが、近年は駐車場を中心とした立ち寄り観光にも陰りが見えつつある。
 恵那~明智間は、クルマなら30分だが、鉄道では50分かかる。市役所職員の通勤にも使えない。高齢者と高校生以外は利用しない。岩村の高校もなくなり、明智の高校は定員確保に苦慮しているという。大正ロマン号や食堂車など努力はしているが難しい。しかし、今ある鉄道を何とか生かさねばならない。
 2004年の合併後、自治体の枠を超えて明知線沿線活性化協議会を立ち上げ、
・幹線としての明知線、それに接続するバス路線を明確にし
・上限500円バスと
・可能な範囲でパターンダイヤ化し
・わかりやすい路線地図を配布し
国交省活性化再生事例として、大臣表彰を受けている。
 実際に現地に行ってみて驚いたことは、沿線畔が刈られ、森林が手入れされ、看板が少なく、農村景観が極めて美しい。こんな美しい「懐かしい日本」は、他には山口線SLやまぐち号沿線くらいであろうか。驚いた。
 伺うと、実際、競うように畔を刈るそうで、地域では草刈をやっていないと恥ずかしい雰囲気がある。明智鉄道沿線協力会でも、草刈や、駅の環境整備をおこなっている。沿線協力会明智支部には、青年会=恵南青年会議所(JC)メンバーも加入している。JCは、光秀祭、花火、岩村の祭、イベント、日本大正村の植込みボランティアなどに協力している。他に卯辰会など年齢団体も活動している。近隣のコミュニティモラルが厳しく、青年団活動など世代ごとのコミュニティ活動が強い。
 1984年、こうした多様なコミュニティ力が結集され「日本大正村」の運動が始まった。2004年の合併後、明智線沿線協議会でもそのコミュニティ力が発揮されているが、日本大正村を運営する団体は新加入が少なく、世代交代がすすまず、地域も高齢化し、活動者が少なくなってきている。
 大正村では、宿泊施設も維持できず、元気がない。危機意識はあるものの、世代交代ができず、意見がまとまらない。広域合併したなかで、合併後の恵那市役所も地元の議論を見守っている状況で、発議するのが難しい。そうこうしている間に、人口減は進み、今ある鉄道の維持も難しい。
 まずは、皆で危機感を口に出して語り合い、打開の戦略を練るべきではなかろうか。市役所が口火を切るべきではないだろうか。

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