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2011年11月 5日 (土)

記憶と行動+【授業:交通まちコミ:連絡】

【授業連絡】11月7日(月曜)は、大学祭後片付けの休講らしい。情報のキャッチが遅れ、前回指示せず。あわててメール連絡しようと思ったら、KOAN(履修・シラバス・成績管理システム)が工事中。フェイスブックくらいしとくべきだったか。
 そこで、7日は、基本的には授業をするが、自主判断で欠席した学生が不利益にならぬよう、配慮することを表明します。

宇都宮浄人『路面電車ルネッサンス』を読んで、記憶と行動について考えた。
『路面電車』は、路面電車とまちづくり、経済、さらには信用乗車制度など、コンパクトに本質をデータでまとめており、おおいに勉強になった。が、宇都宮が説く、「中心市街地はなぜ崩壊させてはいけないのか」「税金投入で守らねばならないのか」については、?であった。宇都宮は、
 ①中心地高齢者等マイノリティの移動確保(交通権)
 ②中心市街地におけるクルマ以外の複数の移動手段確保は都市の幸福(公共)
 ③中心市街地に来るビジターの移動確保、利便
を理由にあげている。都市は集積の結果である。その合理的利益として、多様な人の生活を複数で担保する意味から公共交通が必要という論理はありえる。
 しかし、「クルマで自由に移動すれば良い。クルマの社会的費用は法で担保されており、道路財源を含めて、これ以上、中心市街地や公共交通に限られた財源を使いたくない」という人と、宇都宮の公共的利益論は、なかなか議論が交わらない。JAFFは自動車特定財源一般財源化反対署名をしていた。高速道路無料化が国民世論の賛同を得やすいと考える政党はあるが、公共交通無料化が国民世論の支持を得られると考える政党は今のところ存在しない。これが日本の現状なのだ。こうしたなか、自動車の社会的費用という正論を主張をしても、なかなか国政での合意、地域での合意は至難を極める。説得が難しい。どうすれば良いか、私も常に悩んでいる。
 宇都宮は幼少の頃、水戸に住んでおり、茨城交通市内線の廃車が横たわっているのを見た記憶があるという。日本銀行に進み日本経済を統計的に支える仕事をしながら、一方でLRTにのめり込み、挙句は出版、ついには交通経済学教員として関西大学に赴任した。彼の行動は、経済的合理性か社会的使命感かはともかく、どうも合理性ではなく「幼少の喪失記憶」というリビドーに突き動かされたものではないか。
 経験記憶には、愛と飢えがある。愛は増強願望による強化行動を促す。飢えは回復願望による創出行動を導く。そうした強化や創出行動は、抽象的なものよりも、具体的なモノに固執する形で表出する。合理性ではなくフェッティシュにモノが要求される。例えば、コミュニケーションのある町よりも、古い街並みが好まれる。動きが見えにくいバスよりも、鉄道やLRTが好まれる。バス趣味は少数派で鉄チャンは多数派なのはこのことに由来する。
 都市の記憶には、
(A)都市の自然的景観
(B)都市の長い歴史を経た文化的景観
(C)個人的な都市の場所に関する生活景観
がある。例えるなら、山と海に挟まれた神戸(A)、国際都市としての雰囲気(B)、貴方と歩いたトアロード(C)、ということになり、愛着心、帰属意識を生む。これを個人ではなく、都市全体にあてはめ都市政策をすすめていくことになる。
 記憶というのは「将来に必要な情報をその時まで保持すること」である。長期記憶、意味記憶に分類される都市の記憶は、都市の将来を考える資産なのである。単なる過去の事実である「記録」とは違う。
 いわば、記憶は個人の生き方、生きがいと関わっており、集団としては都市の目標、都市政策と関わっている。
 人は、消費のための合理性のみで行動するのではない。
 人は、消費のための惰性としての個人行動と、生きるための記憶との葛藤で動いている。クルマとコンビニの生活が楽だと思って暮らしつつ、亡くなったお母さんのような優しい女性に出会えば、うっかり結婚行動に出るのである。都市生活では、クルマに依存した個人消費に浸りきっていたが、震災で町が消失すれば、何とも思わなかった町がいとおしく思え、歩きふれあうまちづくり、クルマに頼りすぎないまちづくりに奮走する私であった。
 中心市街地が大切なのは、それがみんなの文化景観・生活景観であり、その町に生きる意味につながるからではないか。
 誇りを持ち、愛着心を持つ町は、経済的合理性以上の都市経営の目標ではなかろうか。

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