コミュニティサイクル本格運営の手法は如何に?
個々の自転車が、駅に集まると駐輪施設が間に合わない。収益のない自転車を駅近くに200円で12時間停められては大赤字。そこで、自治体や鉄道事業者が改札口から遠い高架下や地下などにがんばって駐輪場を整備する。が、大量の自転車が駅の改札近くに放置される。一台が置きだすと、あっという間に100台が放置され、自治体は退職公務員も多く所属するシルバー人材センターに撤去をさせる。全国で、いたちごっこが展開され、60歳定年、年金支給開始65歳移行の無念金世代を埋めている。これは、自転車マナーの問題ではなく、政策の問題である。
そこで、自転車を所有するのではなく、都市のなかにいくつかのポートを置き、自転車を短時間借りて乗り捨てできるコミュニティサイクルが模索されている。パリではエムシードゥコー社がヴェリブという無人装置を使ったシャトルサイクルを10年間運営権利を得て、世界に拡大しようとしている。ICカードで簡単に借り出され、おしゃれなデザインで広告料のみで運営できているとされるが、本当は、自転車車体の破壊行為が激しい。その経費は、パリ市の負担となっている。契約期限がきたら継続できない可能性もある。
日本でも、環境省や経済産業省などのモデル事業、安易なところでは緊急雇用を使った短期のコミュニティサイクルをJ社が受けているが、本格運営に入ったところは、名古屋名チャリのみであろう。これも大赤字。コミュニティサイクルは、補助がないとできないのか?
確かに、シャトルの料金100円/回、一日券300円では、ポートの人件費、自転車配置に偏りができたとき、トラックで移送する人件費を考慮すると、本格運営は難しい。しかし、日本では破壊行為はほとんどない。自治体財政も厳しく経常補助は難しい。ではどうするか?昨日、神戸まちチャリで、三宮国際会館→県立美術館→灘酒蔵→ハーバーランド:モザイク(JR神戸駅・港隣接の商業施設)→兵庫駅近くのホテル→水の博物館を廻って、いろいろな人と議論し、現場を見て考えた。
■第1案■ 行政やホテル事業者、観光地などが土地を無償提供し、アーキエムズのエコステーション21システムを導入する。自転車ラックと自動制御を組み合わせ、瞬時に配置の偏りがわかるようにして自転車移送をおこなえるようにする。エコステーション21は、ラック設置と適切な誘導員配置(最初は多人数、慣れてくると少人数)で、短時間無料、超過料金のみでの駐輪場経営を可能としたビジネスモデルを持っている。この場合、人手による充電ができない(自動充電のラックを開発するにはコストがかかる。国が一気に大量コミュニティサイクルを補助するなら別だが・・・)ので、変速式小型車となる。この場合、北野異人館ポートは難しい。
■第2案■ 協力可能な特定のホテル(駅から遠い)、灘酒蔵の試飲を伴わない観光施設、中心街から離れたホテルで、比較的フロントホールが広く、協力が得られそうな企業市民に、自転車配置、充電も含めて管理をお願いする。しかし、人手がかかる、フロントホール・屋根のある屋外など候補場所がないなど、なかなかポートを増やすのは困難。
そこで、ポート候補にしたい行政施設の指定管理の公募条件に、ポート運営を最初から入れ込めば良いとわかった。コミュニティサイクル担当部局と、行財政管理当局、施設管理部局との連携合意事項となる。そのことを、自転車総合計画に当初から盛り込んでおければ、庁内の理解は得やすいと考える。
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