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2011年8月12日 (金)

ポストメトロポリスの自給持続都市

 3・11以降、エネルギーバランスが悪く、食糧自給バランスが悪く、空洞化高齢化、ときに荒廃がおきつつあるメトロポリスの限界が露呈している。なかでも阪神都市圏は、産業衰退空洞化のなかエネルギー逼迫、巨大災害に対して無防備の状況にある。静かな崩壊と急激な崩壊危機が迫っている。衰退傾向にあるとはとはいえ、阪神都市圏への東南海津波の急激崩壊、または静かな崩壊は、大阪を含まない阪神大震災で10兆円被害、東日本で15兆円に値する。大阪を含む阪神の崩壊は、静かにであれ、急激であれ、その倍の被害で日本経済の息の根をとめる可能性がある。70年代、なにわドリーム「もうかりまっか」の末路は、今や、ジャパンナイトメア(悪夢)の引き金になる。
 これを阻止するには、メトロポリスに隣接して、ポストメトロポリスを作るしかない。
 産業も減少しているのに費用回収できないから地価が高止まり、身動きできない空洞都市に隣接して、過疎と自然環境をウリにする自給持続都市を再構築するしかない。
 某県過疎地の環境未都市構想がおもしろい。エネルギーバランス、食糧自給、暮らし持続を基本とし、無理な発展型を求めない、安心安全の暮らし持続を構築する動きは、結果として、来訪人口・部分定住人口を招き、トータル人口±0をめざす。極めて、積極的非発展持続案である。
 ところが、当該過疎地域の一部には、異論がうずめく。
曰く
人口が増えるのではなく±0の目標とは何事だ!
この機会に空地を大きな病院にしたい。
この機会に雇用を増やしたい、京阪神のベッドタウンになりたい。
そのためには高速道路が高い。高速料金が高いから地域の発展がない。

地元のこの主張は本当だろうか?
 大きな施設だけではなく、在宅でも安心して暮らせる地域づくりが大切なのだ。
 今更、大きな雇用求めるのは幻想。衰退した阪神のベッドタウンになってどうする。都心居住・大阪一極集中がすすみ、神戸近郊でさえ住宅地価が下落しているなかで、高速道路を無料化したところで、ベッドタウンを建設する時代ではない。
 そもそも高速道路を無料にしたら本当に繁栄するのか。ストロー現象で、悲惨にならないか?

甲府盆地一帯は周辺を山地に囲まれ、東京方面への移動は笹子峠や小仏峠などの難所を越えなければならなかった。そのため、独立した経済圏であり、影響は少なかった。しかし1970年頃から中央本線の高速化や中央自動車道の開通により特急列車と中央高速バスとの競争が激化、本数増発や運賃・料金値下げを繰り返したため容易に東京方面へ行けるようになったため、休日になると日帰りで東京方面へ買い物へ出かける者が増えた。一方で甲府都市圏の店舗は一部のショッピングセンターを除き影響を大いに受け、多くの店舗が閉鎖・撤退し、特に甲府駅周辺の商店街は壊滅的打撃を受けてシャッター通り化した。近年はその影響が企業や工場にまで波及し、パナソニックや東京エレクトロン、パイオニアなどの工場撤退が相次いでいる。
 これをストロー現象という。大切なことは、交通路の整備、料金の低減化だけではない。それを使って、どのような地域を作っていくのか、人口増、雇用増、大きな施設だけが目的なら、危険高速鉄道網を張り巡らし、血眼あげて金、カネで走り、農民工など格差が蔓延する中国よりも我々は不幸なはずである。
 大切なことは、地域の資源を上手に使い、エネルギーバランスの良い、食糧自給のでききる、安心して暮らしつづけ、相互が信頼しあい、支えあう「ささやかだが、誇りある暮らし」づくりではないか。

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