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2011年7月 4日 (月)

小さいけれど大きな効果:住民・自治体・バス会社・国の協働事例

2010年、神戸ー尼崎間の山手幹線道路(国道2号線、第二阪神国道に次ぐ、東西幹線)が、長い熟議の末、最近、最後の芦屋市内が開通した。騒音や振動、プライバシー侵害を心配する住宅都市芦屋住民の声に耳を傾けて開通した。
 これをきっかけに、クルマの通過交通を減らす意味でも、芦屋市は山手幹線を東西に走るバスを要望したが、バス会社からは「鉄道に並行するバス路線はできない」と拒否されたと聞いた。
 ところが、2010年9月、みなと観光バスは、六甲アイランドから阪神御影を経由し、阪急岡本・JR摂津本山駅(神戸市内)まで来ているバスを、JR芦屋駅に延伸しようとした。これに対して芦屋市は、市内東部翠ヶ丘までの延伸を提案。近畿運輸局は事業計画変更を認め、2011年1月30日、みなと観光バスは住民説明をした。ここで住民は、さらに東、阪急夙川まで延長すべしと逆提案した。
 足の悪い高齢者は、バスを歓迎、待ちわびる一方、住民のなかには、バスの騒音、粉塵、振動、音、バス停のゴミ等、さらには不特定多数の人が通るということでプライバシーを心配する声もあった。みなと観光バスでは、個々の心配、意見に耳を傾け、環境測定、環境整備、運行手法・車両の高度化等を行ってきた。
 一方、みなと観光バスは、2011年2月夙川自治会、駅前の商業施設:夙川グリーンタウン、警察等と協議、さらに近畿運輸局と再協議、西宮市役所とも協議し、3月31日、近畿運輸局に再変更申請を出した。
 さらに、4月、芦屋市内バス停について、個々の自治会で議論し、その意見にあわせて、可能なバス停のみ再調整し、6月30日、バス延伸事業計画が認可された。

 自治体は、予算をつけて、ときには路線バスと客を取り合いするような100円バスを赤字で走らせることが能ではない。芦屋市や西宮市のように、より良い移動手段としてバス会社に提案し、住民と議論するお膳立てをし、多様な議論を聞きサポートすることも重要な施策である。しかも0予算。
 住民は、単に要望ではなく、自らすすんで、多様な議論をまとめ、停留所の場所を議論してまとめ、バス会社に逆提案するぐらいの器量が必要だ。昨日、講演会でお目にかかった自治会リーダーは、みなそうした器量を持ち合わせた方だった。
 一方で、バス会社は、既存のインフラを漫然と運行するのではなく、個々の住民、行政の声を、ビジネスチャンスとみて、俊敏で丁寧な努力をする必要がある。
 国は、今回、3度もの修正協議に応じ、遅滞なく許可を出した。住民と事業者、自治体の協働の動きにあわせ、臨機応変に対処するこの態度は、これからの運輸局に求められる姿であろう。
 かなり、ベンチャラですが、
今回、4者は良くがんばった協働だと思う。7月2日、講演会で私は言った。バスは、高齢者など弱者に優しいだけでなく、クルマの通過交通を減らす手段になる。山手幹線で一番必要なのは、クルマの通過交通をいかに防ぐかということだと。
この写真を見せた(ラクダ高岡より)0807276303 0807276315

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