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2011年5月10日 (火)

【授業報告:交通マチコミ】数字はデッチアゲ?⇒【宿題】

20110509交通まちコミppt

山口市の交通まちづくりの資料を活用し意見交換。資料は以下のとおり
1. 地域間バス交通の強化
合併前の自治体である小郡~阿知須間、秋穂~阿知須間の路線バスを新設。利用者数も増加傾向にあり、地域間移動の利便性が向上し、地域間交流の活性化や市民生活の質的向上に寄与している。
2.地域住民組織によるコミュニティタクシーの導入
市内8地域で地域住民組織が事業主体となったコミュニティタクシーの実証運行を実施し、全ての地域が本格運行へ移行予定。買物や通院といった日常の移動手段として好評であり、市民の日常生活の質的向上に寄与している。
3.わかりやすい公共交通情報の提供
鉄道やバスといった市内の公共交通機関を網羅した総合時刻表、公共交通マップの配布のほか、公共交通に関する情報提供を行うホームページを開設。公共交通を利用する際の障害のひとつである情報不足を補い、利用者の利便性向上に寄与している。
4.公共交通を利用する動機づけとなる事業の実施
啓発イベントやノーマイカーデーを柱とした「市民公共交通週間」、モビリティマネジメント、パークアンドライド実証実験を実施。新たな利用方法の提案や、個別化したよりきめ細やかな情報提供等により、全市民レベルでの意識の醸成を図った。以上の地域公共交通活性化・再生総合事業を活用した取組を始め、市民、事業者、行政の協働により、持続的な公共交通を創り守ろうとする総合的な取組として非常に高く評価することができる。
功績の内容(1)多様な主体の実質的参画
山口市では、平成18年に外部有識者、関係事業者、公募の市民委員及び行政などで構成する「山口市まちづくり委員会」を設置し、山口市の公共交通のあり方を住民と行政が対立するのではなく、協働の意識醸成を行いながら検討してきた。平成19年9月には「山口市市民交通計画」を策定し、地域住民とは地域特性に最適な移動手段の確保等について、各地域で地域勉強会を開催し、交通事業者とも月1回のペースで意見交換会を開催してきた。こうした検討は、計画策定後の現在も引き続き行われている(毎年70回以上)。
コミュニティタクシーの導入に当たっては、交通不便地域の交通弱者の移動手段を確保するため、地域住民組織が主体となって検討を進めるとともに、運行ダイヤ、バス停の設置、企業協賛金の集金及び回数券の購入等までを行っている。市の職員は、市の広報誌での情報提供や、モデル地域毎に担当が1人ついて、住民の取り組みのサポートをしている。
(2)創意工夫
合併前の自治体を結ぶ地域間バス交通の強化では、主要商業施設の乗り入れや結節点の整備などにより利用者の利便性の向上を図った。コミュニティタクシーの導入では、地域主体により市内8地区で実証運行を実施し、運行基準(平均乗車率30%以上、平均収支率30%以上)を満たした地区について本格運行に移行することとした。各地区において、定期的な会合等を行い、利用動向や収益状況を踏まえながら検討を進め、全ての地域が本格運行に移行する予定となっている。またこれらの取り組みとあわせて、公共交通機関についてモード
を横断した総合時刻表や市中央部の路線マップを作成・配布することで、わかりやすい公共交通情報を提供し、公共交通機関の利用の促進と利用者の利便性向上に寄与した。
(3)自立性・継続性
コミュニティタクシーの実証運行では、1年間の運行期間終了後、本格運行に移行するか否かについて、定量的な基準により評価を実施している。本格運行後も、3年間の運行期間を経て運行を継続するか断念するかは事業主体である地域組織が最終判断を行う。その他にも、3月上旬の第1週を「公共交通週間」として設定し、
各種イベント等を実施するほか、「グループタクシーの実証運行」など、様々な取組を実施している。

ミニホワイトボード片の赤字は学生の質問、黒字は感想。白板書はその回答等、教授者。

くるくるバスという個別地域の住民協働型交通まちづくりを、一つの自治体の理念にし、成功事例を作った。こうした成功事例が交通基本法に結実する。ノーマイカーデーではなく、給料日後金曜の「呑まないかデー」の方が意味があるという話は学生の興味を引いた。しかし、本当に過疎化人口減が続くとこれでやりきれるかどうか?。厳しい質問。それは大きな行政課題。トップの政策課題。
結局、交通の問題は交通のみならず、地域の活性化やコミュニティ構築に重要との理解が得られた。

ここで教授の挑発「数値にならんもんは政策にならん。コミュニティ好きがコミュニティ大切ですねと100回言ってもダメ。デッチアゲでも数字を示せ」
⇒学生絶句「集会の回数ですか?」(「デッチアゲ」はないでしょ・・・)

正確に言うと、すべての数値は一定の条件のもとに出され、限界性がある。にもかかわらず、一定の合理性で示さないと政策にはならない。目先の数字を無限定に信じてはダメ。その向こうにある見えない意味を想像することが科学だ。これを逆に微分すれば、幸福や神、コミュニティ、活性化のような数値にできないものも、どのようにして合理性をもって示しえるかが、科学の課題なのである。

そこで宿題(5月23日)次のうち、いずれかの命題を解け。
(ヒントはブログにある場合もあればない事もある。ただ、研究者・専門家なら原書にあたれ)
【宿題1】神の存在について、信じるほうがベターか、信じないほうがベターか、確率論で論証せよ。
【宿題2】幸福の限界効用、及び、供給0のときの絶望、エネルギー過剰消費の傾向を、数理的に説明せよ。
【宿題3】原発の信頼性の逓増率、及び事故による信頼性回復の困難性を、数値を持って説明せよ。

10日13時アクセス分析。「宿題」と書くと、大学内のアクセスが一気に増える。「原発」と書くと、某eonetが突如アクセス。監視されている?物事の奥底を見極めようとせず、目先の言葉や数字に反応するのは、人がいかに科学的に思考できないかの証左であろう。だからこそ、積分して科学的に数値を出すのだ。

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