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2011年4月 8日 (金)

『原子力政策学』神田・中込編、2009年、京都大学学術出版会

1995年12月動燃の高速増殖炉(もんじゅ)の熱除去二次系ナトリウム漏れ事故における事故隠し以後、原子力政策のあり方を議論した本。
 原子力政策には、
①安全技術
②核燃料サイクル技術・処分政策
③不拡散政策
④温暖化防止もにらんだベストミックスを探るエネルギー政策
⑤情報公開・防災・合意形成
⑥リスクコミュニケーション・科学技術リテラシー
がある(p17)。が、技術者は①②に傾きすぎ、反政府市民運動は③に関心が強く、経産省と電力会社は、低炭素化を理由に原子力開発を推進してきた④
 2010/5/26衆議院委員会で、原子力安全保安院長は、冷却のための電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしている」と述べ、炉心溶融は「理論的可能性のみで、ほぼ起きない」と発言。2007年、インドネシア津波に危機感を持った原電における津波の影響を考慮した東電原発専門家チームの国際学会での英文レポートは考慮されず(ロイター3月30日:特別リポート)、結果、炉心溶融の危機対応がなかった。ゆえに、この状況。
 本書では、事前知識(C)と観察知識(E)によるベイズ理論で、安全確立(信頼性)を計測している(pp111-126)。
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要は、事故を起こせば、20年は信頼が得られない。ましてや、「絶対事故は起こらない P(E2lC1)=0」という説明は、事故が起こった場合、この原子力発電が安全なものである確率を0としてしまう。 P(C1lE2)=0 となる(p122)。
 今後、原発新設どころか、点検後の始動も難しいかもしれない。ここで問われているのは、電力会社だけではない。電力の30%を無限定に使っている消費者でもある。1970年比で、家庭電力は500%になっている。原発事故や計画停電は、電力垂れ流し消費者に、この状況になってはじめて、実践知(思慮)を与える(p34)。

※第3期科学技術基本計画分野別推進戦略(2006年3月)では、省エネ、運輸からの脱石油、原子力の推進 が謳われている(p27)。その上で2005年原子力政策大綱では、・2030年以降、原発30-40%を期待し ・核燃料サイクルを推進し ・高速増殖炉の商業ベース化 を説いている(p30)。

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