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2011年2月26日 (土)

新しい大阪市市政改革方針Ver.1.0

25日、中之島公会堂に大阪市地域振興会(町会)、女性団体協議会、社会福祉協議会、コミュニティ協会1300人が集まり、平松市長を迎え、「これからの地域社会のあり方」を議論した。そこで、市長は市民力UPによる市政改革を市民に直接呼びかけた。
Osakacollaboration
平松市長は24区政懇談会を廻り、市民の声を直接聞いてきた。その上で、今後は各区に予算と人材を集め、区長を先頭に福祉コミュニティづくりをしようというのである。区の活動、議論には市長も電撃訪問するという。要は、人口260万の大都市で直接民主制を取り入れようというものであり、名古屋の河村市長の手法に通じる。大阪市を潰して大阪府に吸収し、効率的に運用しよう(大阪府の債務を粉飾処理したい)という橋下構想とは大きく異なる。
 が、ここで重要なのは間接民主制を支えてきた議会の役割である。
 乱脈な費用弁償や海外旅行・委員手当て、政務調査費の実質報酬化、高い歳費、すすまぬ定数削減、そして内部議論ばかりで政策立案能力の欠如・・・。議会への不信は極まっている。では、議会は組長のイエスマンで、少ない人数、安いコストで本当に良いのか?
 私は、この平松市政改革で最も重要なのは、市民の主体的活動はいうに及ばず、議員の役割もまた重要だと思っている。
 これまで議員は、自分の支持団体(者)の願いには敏感だが、地域活動の実情や悩みを汲み取ろうとしてきたか。集会で挨拶だけして結婚式に走る議員で良いのか。市民側も議員に口ききや顔出しを求めるリーダーではダメだ。そんな議員や自治会を、無党派市民は「無駄」と思い、削減を求め、わかりやすい河村、橋下、東国原のもとについていこうとしている。
 しかし、ヒットラーがドイツ民主制から現れ、北朝鮮が「民主主義共和国」であるように、大阪お笑い100万票が「ノックさんはエー人や」と誰かについていく限り、大阪は良くならない。
 大阪市民が自ら地域活動を展開し、それを区役所が徹底してサポートし、その自立市民の視点から行政を改革しようというのが、平松市長の意図である。
 このなかで、議員がどう動くか、自覚するかが最重要ポイント。
すでに、議員のなかには、区政会議に「あれを入れろ」「これを」と、口利きをしようとする動きも聞く。
 そうではなくて、区役所と市民活動との協働を現場で観察し、一緒になって考え込み、必要な法整備、行政手法を批判的建設的に提示しつつ、自らも市民の理解を得られるような、自律抑制的な報酬等を検討すべきだ。大阪市役所が、職員定数・人件費・外郭団体の適正化で改革をするめているなら、それに比例して議会も定数・歳費等の適正化をすすめねばならない。
 従来の口利き型で市民が納得すると思っているのは、旧体質議員の大きな勘違いではなかろうか。名古屋議会のようなテイタラクを天下にさらすことはないと信じる。

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