« 新しい大阪市市政改革方針Ver.1.0 | トップページ | 京急空港線大鳥居の半地下駅立体交差 »

2011年2月28日 (月)

佐佐木綱『風土とまちづくり【その第一歩】』1990年

阪神高速道路公団の支援を得た研究会の成果をまとめたもの。エー時代やったなあとは思うものの・・・。
 目的関数と数理最適化モデルだけでは住民から袋叩きに会うので、風土分析による脱モデル化、風土工学を提示している(p1-10)
 それは、真言密教の両界曼荼羅のように、胎蔵界(統合化⇒システム論)と金剛界(分析化⇒ステージ論)(尾仲章「地縁文化との関連から見た道路計画手法に関する研究」1985年)における金胎不ニ(p14)のように、裏腹の関係である。

 医学が早くから総合大学で教えられてきたのに、工学は職工学校であって、1965年、ボッフムのルール大学に工学部門を設置するとき、わざわざカソリック神学と福音派神学を開設したのは興味深い。工学には、文化総体universeに対する使命(哲学)が課されるべきであった(同書、佐藤吉昭「風土と民間信仰」p64)。今日の工学教育をみるとき、この経緯は注目される。
 しかし、前者を女性原理、後者を男性原理とし、大阪が男性で、神戸が女性だというのは、時代の個別のイメージ(=思い込み)を断定したにすぎず、自己撞着、同語反復(トートロジ)であり、説明に無理がある。大阪は、女性が家系を継ぎ、番頭養子を迎える都市であり、歴史的には女性的ともいえ、単純なモデル化は承服できない。

むしろ、北村真一「河川景観のイメージについて」は、計画における風土考慮の手法を抑制的にしめしており、共感できる。北村は河川景観計画において、①テーマ決定 ②見せ方計画 ③景観対象設計 ④視点場のディテール設計 とし、①における都市特性・歴史変遷・地形等、風土とよべるものを重視し、イメージ調査をすすめようとしている(p226-229)。また、④において、ヒューマンスケールや暮らし方(見方)等を設計にいれこもうとしている。
 脱数理モデル化を意図しながら、無理に曼荼羅モデルやユングモデルに頼るという自己矛盾を展開するよりは、北村の手法が、バランスのとれた取組みと、私は思っている。 

|
|

« 新しい大阪市市政改革方針Ver.1.0 | トップページ | 京急空港線大鳥居の半地下駅立体交差 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事