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2011年2月 2日 (水)

市街地拡散のままなら公共交通はCO2削減にならない

加藤先生(名古屋大学)といえば、バス交通の守護神ともいえる研究者。既存バス経営に対する辛口コメントは、自他認めるバスオタクとして人気が高い。

その加藤先生提供の、恐ろしい図をみつけた(CIPPSvol.2「地球環境問題WS1ー対炭素運輸社会の実現に向けてのWS」15頁)
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 現在の散漫な都市・地域空間構造のまま人口減少が進むと、炭素税も含めた炭素本位制のなかで、自動車こそ有利というシュアな判定。
∴公共交通を使ったコンパクト化
と主張しておられる。

しかし、加藤先生が走り回ってバスを守ろうとしても、最初から負けが決まった戦である。「だからこそ、頑張るのだ」と罵倒されそうだが、私はバス=命ではないので、違うことを考える。

現状は、クルマ社会の進展⇒渋滞で、バスの定時性が低下し、ますますバスは信頼されず排ガスとCO2が増え、高齢者・子ども・外国人・クルマ非所有者の移動が困難となる。
国土交通省H18年「運輸部門における温室効果ガス排出量等の推移」によれば、
 1人を1km輸送するのに,自家用乗用車は175gCO2が排出されるが,鉄道は19gCO2,バスは53gCO2
というが、電気バスは13gCO2だという(同レポート、角濱義隆10頁)。しかも、年間走行距離を52000kmとすると、ガソリン燃料代が130万円軽減、CO2が30t削減という。(※バスは軽油???)
 EV充電駐車場からe-BRT(専用軌道やPTPS[公共交通優先信号システム]を活用した連接快速電気バス)に乗り、エアカーテンを通ってビル内のバス停・地下駅で降りるような電気バスの使い方が検討されている。(同レポート、角濱11頁)
 このような、EVとe-BRT、e-linkBus、24時間無人新交通運転による電気交通システムが50%を越えるようなモデル地域で実証実験を展開する必要がある。(同レポート、堀江武13頁)
 つまり、加藤先生の図でいえば、2050年でe-BRT、e-linkBus、24時間無人新交通運転も含めた公共交通こそがCO2最小となる地域=青 を如何に作るかである。こうした先導地域を各地に展開するなかでこそ、少子化のなかでのコンパクトな地域が形成される。都市計画は、個人資産への法的強制の困難なわが国においては、産業立地・税制特例を含む低炭素モデル都市のような先導地域への誘導でないと、現実的な政策とはいえない。
 

 
 

 

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