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2010年10月17日 (日)

なぜ平均6000kWコジェネ発電を需給組合44社に供給できたのか

低炭素化をめざしてメガソーラなど再利用可能発電の大量供給を求めても、地域の電力供給安定化を考えれば、天候や操業集中などによるリスクに対して、独占電力会社の電力インフラ基盤は欠かせない。しかし、リスクのみを電力会社に負担させるのは困難で、各地でデッドロックになっている。

北九州では、LNGを使ったコジェネ発電と排熱供給をし、それをもとにメガソーラ発電、バイナリー発電(排熱を利用した発電)、水素利用などの、実験を八幡製鉄所の一部旧敷地(東田)で行っている。なぜ、こんなことが可能なのか見学してきた。
 実は、国際物流特区の規制緩和の一つ「資本関係によらない綿密な関係による電力の特定供給」(東田コジェネ株式会社)を、製鉄所の送電網を使って、戸畑エネルギー管理センター(平均電力量は東田の約10倍)と連動させ、その製鉄所群の電力が、東田の約100倍の九州電力の送電網とつながっていると聞いた(未確認)。ところが、LNGの高騰で、東田コジェネの経営も楽でない。

確かに、製鉄所の既設設備を活用すればCO2削減のためのユビキタス電力はすすめやすい。北九州は製鉄所撤退用地とインフラがあったから環境都市が可能なのだという意見があるが、それだけでは無理がある。

 電力会社にすれば原子力発電が1番コストが低く、CO2発生も少ない。しかし、遠くから送る送電ロスや100万V送電線のコスト、核燃料の処理などを考えるとどうかという意見もある。原子力の信頼性の議論を別に暴論すれば、都心や工場地帯で原子力発電をするのが、最も低炭素で安価である。
 しかし現実には難しい。むしろ、水素と1000℃の高熱の利用を考えれば(2H2 + O2 → 2H2O )、効率の良い燃料電池が求められる。
 一方で電力供給安定には、個別ユーザーにおける蓄電池とスマートメータによる管理が必要である。つまり、メガソーラ発電所や大規模コジェネ発電を求める前に、小規模の家庭高性能電池+ソーラ発電・燃料電池発電と電気自動車普及をいかに組み合わせて低コストで市民に普及するかが重要だ。小さな発電蓄電節電を、メガ市民に担ってもらい、エンドユーザーのデータをスマートメータで計測し全体をグリッド管理するほうが可能性があると考える。

ここに協働型スマートまちづくりの必然性がある。

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