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2010年10月

2010年10月29日 (金)

過疎山村とセニアカー

徳島県祖谷山へ行った。
 平家の落人部落も、今は道路が便利になり、蔓橋までは立派。皮肉なことに、便利になったので出やすい。急激な過疎となり、阿波池田と合併して三好市。
 左右の急峻な山の上に集落が張り付いている。主要道には鋭角に上り道が交差している。この細い急坂を高齢者の軽トラが登り、あの真上の集落に行くのであろう。では、クルマに乗れなくなった高齢者はどうしているか?

「こんなところに市営バスを走らせたところで、バス停にたどり着けないではないか」と落胆した。ところが、この急坂をセニアカーが降りてきた。
 セニアカー(シニアカーとはいわない)は、バッテリーの品質向上で航続距離が伸びている。最新式では予備バッテリーを積めば10kmくらいの買い物お出かけは簡単。ただし、段差に弱く、転倒することがある。道路交通法の関係で、徒歩等と認められる6km速度だ。なかには、改造して10km出す暴走セニアカーもあると聞くが、モーターが消耗するようである。

そこで思いついた。土地の余裕のある過疎地では、可能な限り凹凸の無い歩道を整備し、バス停にセニアカーポートを整備してはどうか。タクシー券補助、乗りたいタクシーよりも、セニアカー購入補助が有効かもしれない。高知県土佐清水では、事故防止のための高齢者の運転免許返納が進んでいる。理由は、
①免許返納と当時に運転履歴証明書を発行してくれる。免許証と同じデザイン
②バス料金が格安割引になる
と聞いていたが、実は、セニアカー購入の割引が大きな要因かもしれない。

淡路島の環境未来島特区では、新しい安定したセニアカーを導入しポートを作り、コミバスと連動させることが、電気自動車や電気バスを無理に開発検討するより、近道である。

都市では、道路バリアフリーの一方で、セニアカー自体の軽量化、安定化が必要である。もう一回りコンパクトだと電車に乗せやすい。現状では、強引に突っ込む高齢者もいるが、抱える駅員、車内での占有面積を考えると、もう一回り小さく、さらに軽いセニアカーが必要だ。要は効率電池開発の問題だろうけれど・・・。

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2010年10月26日 (火)

須藤護「木の文化の形成」

私の卒業論文は「農民のまつる山の神」である(後日、山でのことを忘れたかにまとめる)。

農民が山の神を祀るのはおかしい!何故かと考え、山の保水機能、春に水をわかせ、秋に保水することが、山の神の春去来、秋帰り伝承の基本、農民は山の神に水を見ていたと結論付けた。
 しかし、この推論、農民からの一方的な視点だと本書を読んで気づいた。

本書は、1)木地村や樵村の技術・生活に留まらず、日本の木材利用を、2)木の持続的利用に関する配慮と、3)総合的な木材利用の仕組みから記述している。
1)2)は、春木切り、放牧と焼畑、山の口開けから杓子打ち、山の草刈、伐木してはいけない木などの伝承にあらわれている。結果としての農民が祀っている山の神祭祀に対する農民的理解だけではなく、東大寺田上杣荘であった地域で、何ゆえに山之口明け祭りが行われているかという問題意識も重要だったのではないか。須藤は「山の神祭に、山の持続利用に関する再認識と価値観の継承が伝えられている」という。

1)狩猟も専門的またぎがあったというよりは、焼畑を広げていけば、結果として狩猟文化が広がったというのが須藤の視点である(私には異論がある。狩猟専業職が焼畑をし、鉱山師が焼畑をしたというほうが、無理がないように思う)。

もう一点 3)関西の酒造業は吉野杉による樽造りがささえ、その空き樽が関東で醤油樽となったことを指摘している。九十九里などの干鰯がその下荷となり、河内木綿や菜種生産に加担したことを推測している。

このように本書は、個別木の文化のみならず、木をとおした日本の暮らし全体を記述しており、興味深い。

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2010年10月24日 (日)

10月25日交通まちコミ授業:過疎広域自治体の市内上限200円バス

バスはサービス産業。サービスは、びっくりさせることで新商品と成る。
大阪市内ほどの大きな自治体が、市内上限200円とは、びっくり。結果、乗客が増えて、行政支出が圧縮されたとは?スーパー公務員、野木さんのマジックに学ぼう!

「京丹後野木+新しい公共福祉・良いバス悪いバス」

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2010年10月22日 (金)

『同潤会 大塚女子アパートメントハウスが語る』

関東大震災の義捐金基金をもとに住宅再建にあたり、火事を避ける鉄筋共同住宅を建設した同潤会は、戦後、住宅公団(現在の都市再生機構)として、多くの団地で2DKの寝食分離の住戸を建設してきた。そのなかにおいて、音楽室、サンルーム、屋上庭園、応接室、共同浴場、洗濯場、売店、食堂などの供用施設を持った職業婦人のための大塚女子アパートが建設された。個の生活を守りつつ、ゆるやかなつながりがある共同鉄筋住宅は、大正デモクラシーによる職業婦人、女性の保護・自立を目的として建設された。
 本書は、その居住者の語りから始まっている。『大いなる幻影』を書いた戸川昌子や、バイオリン音階教本を作り英才教育を始めた小野アンナ(小野ヨーコは姪)、「ともだち村」駒尺喜美が住んでいたとは、驚いた。

 その保存を求める運動をきっかけに、女性と住まい研究会の活動があり、本書につながっている。
 戦後の住宅政策は、個別標準世帯(夫婦と子ども二人)に南向採光・プライバシー確保の住宅を大量供給し、公庫融資による持ち家促進をしてきた。そのため、大塚アパートには、暗い・高齢化・時代遅れの誤解が与えられ、結果として解体された。誤解の一因は、当時の社会状況から、良家の婦女子の文化的で安全な短期滞在型施設としての位置づけの限界にあったかと小谷部は厳しく指摘している。
 にもかかわらず、大塚女子アパートの個別住居空間を保持しつつ豊かな(今日から見れば豊か過ぎる?)共用空間を有する建築理念は、ディンクス、シングルマザー、高年齢単身など家族の多様化、単身の増加がみられる今日において、再評価されるべきものである。
 本書は、大塚女子アパートを通じ、日本の住宅政策、男社会の住宅観の限界を照射し、これからの住まい、家族のあり方を提示してい点で、住宅に関心を持つ人、必読である。

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2010年10月20日 (水)

環境コンシェルジュ

政府の成長戦略として、環境コンシェルジュ(家庭低炭素診断&情報提供サービス)が20億円で実施される。家庭エコ診断士の募集派遣に9億(2000万円×47県)、省エネナビなど見える化機器購入補助に9億円。60歳退職エンジニアの65歳年金支給までの雇用確保という連合の意図を批判はしない。動機は不純でも、良い活動ならOKだ。

ただ家庭エコ診断には、次の2点を考慮すべきだ。

①診断項目に家庭用自動車利用の総量を入れる。
 1日1時間点灯時間を短縮すると4kg-CO2/年、エアコンの設定温度を冷房28℃、暖房20℃にするにすると30kg-CO2/年 だが、週5日片道20kmの車通勤をやめれば、2227kg-CO2/年。土日の買物を公共交通にすれば(マイカー利用を1割削減)144kg-CO2/年となる。
 クルマ利用を抑制せずエコ診断しても、CO2抑制効果は期待できない。
②診断士養成項目に、エンジニアリングコミュニケーション能力を付与してほしい。
 専門家が家庭に入り込むのだ。一緒になって考えていく態度、傾聴の態度、楽しい雰囲気・会話のキャッチボール、専門用語の簡単な説明・言い換えが重要だが、団塊の世代のエンジニアは、この点も鍛えなおす必要がある。大きなクルマで乗り付けて、チンプンカンプンの専門用語で偉そうに指導していかれては、うっとうしい。無料でも来て欲しくない。

しかし、診断士による判定だけではより多くの家庭でエコを実践するのは難しい。【国のこの事業でも、診断士の1万人雇用はうたっているが診断家庭総数の目標は書いていない。1万人の診断士雇用で10万世帯の診断をしたところで…??】
省エネナビの普及も重要だが、自らが家庭のエネルギー量を計測し、自ら削減目標を設定することが重要である。私は、

③エコ診断士でなくともクルマも含めて完全自己計測できるサイトを実験構築した。
http://www.orsp.net/~ks5153yn/
電気料金、ガス料金領収書があれば可能です。ぜひ、次の休日、皆さんもエントリーください。このサイトと、サポーターがいれば、省エネ診断家庭は、100倍にすることが可能である。
 環境コンシェルジュ事業のなかで、エコ診断士も重要だが、参加家庭数を増やそう、県民エコ運動にしようと思えば、クルマも含めて完全自己計測できるサイトとサポータ制度が重要である。すでに、複数の自治体では、この方向で検討を始めている。

ご検討をいただける自治体は、morikuri◎cscd.osaka-u.ac.jp(◎は@です) まで。

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2010年10月19日 (火)

温暖化防止における企業とのコミュニケーション

温暖化防止の計画を作っていて、結果、その町のシーズを書き出していることに気づいた。

行政がシーズを把握せず、ただ「省エネルギーを御願いします。何かエー技術おまへんか?」では、何も出てこない。「省エネはわが社の可能な範囲で判断する」「技術は自分とこでコソッとします、エー補助メニューがあったら持ってこい」で追い返されるのが常である。

そこで、某町のシーズを書き出してみた。

①自営線によるメガソーラ発電の可能な製鉄所
②トランスヒートコンテナ(排熱移送利用)可能な工業団地
③バイナリー発電(低温排熱発電)技術を持つ工場
④副生水素の活用技術を持つ鉄鋼メーカー
⑤燃料電池など焼却系以上の効率的発電に関心のある造船所
⑥貴重金属回収と自動車ダスト発電に関心のあるリサイクル企業
⑦省電力による直流データセンターに関心のある銀行
⑧LED育苗施設とオフィス農業に関心のある人材派遣企業
⑨グリーン会計とグリーン電力証書に関心のある証券会社
⑩EV電池リユース技術に関心を持つ電器工場
⑪エネルギーマネージメントシステムに関心のあるコンサル
⑫太陽熱による温熱とヒートポンプの組み合わせによる夜間余剰電力の備蓄技術を持つ企業
⑬エンドユーザーのエネルギー使用安定化のための蓄電池とスマートメーターに関する技術を持つ企業

以上を、個々にお招きして議論を深め、協働の具体化を検討するコミュニケーションが必要だ。全部を、ぱっと集めた会議では、本音は出ない。

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2010年10月17日 (日)

なぜ平均6000kWコジェネ発電を需給組合44社に供給できたのか

低炭素化をめざしてメガソーラなど再利用可能発電の大量供給を求めても、地域の電力供給安定化を考えれば、天候や操業集中などによるリスクに対して、独占電力会社の電力インフラ基盤は欠かせない。しかし、リスクのみを電力会社に負担させるのは困難で、各地でデッドロックになっている。

北九州では、LNGを使ったコジェネ発電と排熱供給をし、それをもとにメガソーラ発電、バイナリー発電(排熱を利用した発電)、水素利用などの、実験を八幡製鉄所の一部旧敷地(東田)で行っている。なぜ、こんなことが可能なのか見学してきた。
 実は、国際物流特区の規制緩和の一つ「資本関係によらない綿密な関係による電力の特定供給」(東田コジェネ株式会社)を、製鉄所の送電網を使って、戸畑エネルギー管理センター(平均電力量は東田の約10倍)と連動させ、その製鉄所群の電力が、東田の約100倍の九州電力の送電網とつながっていると聞いた(未確認)。ところが、LNGの高騰で、東田コジェネの経営も楽でない。

確かに、製鉄所の既設設備を活用すればCO2削減のためのユビキタス電力はすすめやすい。北九州は製鉄所撤退用地とインフラがあったから環境都市が可能なのだという意見があるが、それだけでは無理がある。

 電力会社にすれば原子力発電が1番コストが低く、CO2発生も少ない。しかし、遠くから送る送電ロスや100万V送電線のコスト、核燃料の処理などを考えるとどうかという意見もある。原子力の信頼性の議論を別に暴論すれば、都心や工場地帯で原子力発電をするのが、最も低炭素で安価である。
 しかし現実には難しい。むしろ、水素と1000℃の高熱の利用を考えれば(2H2 + O2 → 2H2O )、効率の良い燃料電池が求められる。
 一方で電力供給安定には、個別ユーザーにおける蓄電池とスマートメータによる管理が必要である。つまり、メガソーラ発電所や大規模コジェネ発電を求める前に、小規模の家庭高性能電池+ソーラ発電・燃料電池発電と電気自動車普及をいかに組み合わせて低コストで市民に普及するかが重要だ。小さな発電蓄電節電を、メガ市民に担ってもらい、エンドユーザーのデータをスマートメータで計測し全体をグリッド管理するほうが可能性があると考える。

ここに協働型スマートまちづくりの必然性がある。

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2010年10月15日 (金)

西奔西走

12日山口市大歳地区のクルマに頼りすぎないまちづくりを語合い、北九州市環境モデル都市を視察し、14日、広島で広島交通連携の事後展開を中国運輸局と打合せ、偶然、セミナー講師の国交省交通計画課長と遭遇、皆で新法制以後の地域交通計画の展開を語合った。深夜帰宅。法律立案で苦労している担当と、現場を預かる者、学識がこの国の地域交通の将来を一緒に考えるのは、有意義で楽しかった。

北九州では八幡製鉄所に入り、コージェネレーション発電と送電システム、排熱利用、水素利用等の説明を受け、技術者と語合った。「神戸で使える」と確信した。

15日は、立命館大学で、防災における文系と理系技術の融合に関して、講演をする。実は、旅先でプレゼンを作っており、未完成。八幡製鉄所の環境活用は明日にして、朝食後、準備せねば・・・。

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2010年10月12日 (火)

交通まちコミニュケーション概論授業計画

交通まちコミュニケーション概論(吹田)は、第1回受講生の希望関心にあわせ、以下のように組み替えます。

鉱山民俗学から都市民俗学、震災後の復興まちづくりを経てコミュニティづくり、交通まちづくり、そして現在の民生部門CO2削減(淡路島、神戸)と、関心や専門の遍歴をたどりつつ自己紹介をした後、学生に授業への要望、質問などを聴いた。まとめると、
A)地方の衰退にどう対処するのか、住民をどう巻き込むのか、保守的な淡路島で環境特区をどうやるのか。
B)コミュニケーションをとりながらの交通計画、地域づくり、道路づくりをどうするか、現地を見て考えたい。
C)研究や人生での苦しみ、乗り越えを聴きたい

Cについては「一週間眠れない経験」は、すぐさま答えた。
A・Bをふまえ、
① 10/4 自己紹介と学生のウォンツ
② 10/18 淡路島環境未来特区と交通計画・モビリティマネージメント
③ 10/25 過疎地でもできる上限200円バス革命【京丹後市野木さんの資料】
④⑤⑥ 11/3(祝) 神戸まちチャリを体験してみよう【集合:阪急三宮駅東改札】
http://www.kobe-machi-chari.jp/
⑦ 11/8 【ゲスト:秋山孝正@関西大学 先生】土木計画と密教(未定)
  11/15 休講
⑧ 11/22 【ゲスト:秋山孝正@関西大学 先生】続:土木計画と密教(未定)
⑨⑩⑪ 11/23(祝) 噂のくるくるバスを見に行こう【阪急御影集合】
⑫ 11/29 【ゲスト:松本浩之@みなと観光バス 先生】ビジネスとしての協働型交通まちづくり
op 11/30(火)午後:近畿運輸局交通政策講演会
⑬ 12/6 【ゲスト:松本浩之@みなと観光バス 先生】続:ビジネスとしての協働型交通まちづくり
(⑦⑧⑫⑬は、ゲストのご都合により、日時、内容が変わります)
⑭ 12/13 総括討議
⑮ 12/18(土)中之島センターで授業内容を報告 
⑯ 12/20  自動車の社会的費用
op 高速道路無料化を考える大討論会(オレンジカフェで)

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2010年10月 8日 (金)

サービスされる福祉から、みんなで練る上げる福祉(我孫子市)

利根川と手賀沼に挟まれた小さな台地に、我孫子市がある。人口17万人、駅にはエレベータやエスカレータがあり、コミュニティバス(あびバス)が100円で走り、福祉の町として有名である。しかし、あびバスが施設や住宅地をまんべんなく廻ろうとして不便だ、本数が少ないという苦情もあれば、あびバスがない地域の不満も鬱積していた。担当者は、苦し紛れに私の講演会に来て「自分たちの移動は自分たちで支えあう」という、くるくるバスの理念、実践に感動したという。
 「(森栗は)危ないよ」という上司・同僚の声を、「このくらい厳しい先生に来てもらわねば、我孫子の交通や福祉、市民意識は変わらない」と説得したという。
 運輸政策機構と連携し、2回意見交換、市民代表・事業者講演会を行い、昨日、市民ワークショップと講演に出かけた。
 「赤字のあびバス廃止、料金値上げを画策しようとして、こんな面白い先生を関西からよんできたのか?違います。役所が勝手に走らせたバスに問題があるなら、市民のウォンツを知っている市民自らが地域交通を考え、一緒に交通まちづくりを考えてはどうか」と、ギャグを投げつけた。ところが、アイスブレークどころか、会場はドライアイスのように固まった。あまりにも図星。「私らは、あびバスサービス低下に理解を求めるアリバイづくりに集められたのか」と勘違いされてしまった。
 この冷たい空気を変えるたのは、住吉台くるくるバスでの住民の主体的活動を紹介したときだった。停留所を皆で現場議論して決めた写真や全世帯配布のくるくるバス通信、孫子の代までつづくバスという考えを紹介したときだった。地域のことは地域で決める。その中心は元気高齢者だと鼓舞すると、前期高齢者が小躍りしだした。
 事後、ワークショップに入り、道路状況や鉄道・自転車も含め、不満、課題が吐き出すように出てきた。一方で、「そもそも市役所の態度が悪い」とか、評論家のごとく「事業仕分けのように・・・」と演説しだす男性も…。コンサルから来たファシリテータがまとめの方向を問いかけると「あんた、適当にやっといと」となる。
 先生、講評をと言われて、「市民どおしでの話し合いでは、悪口は言わない、評論をしない、できっこないは言わない、演説せず本当に困っている人の話を聞く。文句ばっかりいっていても地域は良くならない。役所は、役所だけでは限界だから、虚心坦懐に市民の意見を聞こうとしている。が、市民がこの程度の無責任・評論家レベルじゃ、我孫子は良くならん」と罵倒した。
 するとみるみる顔つきが変わり、議論は具体的になってきた。個々の我発協働。孫子の代まで続く交通。子どもも高齢者も自由な移動と、皆の議論をスケッチしてまとめると「我孫子」になる。大喜利芸で談笑のうちに終わった」。
 これで、市民と行政がひざ突合せ、利用者目線で効率的持続的にあびバスを含め地域の交通課題が議論されるであろう。話し合いのルールも理解され、評論や要求ではなく、あれかこれかを選別し、実質的に政策方向を語り合うと思う。
 帰り際、市民の方々の自信に満ちた目を見て思った。

我孫子は、市民と行政・事業者が協働する交通まちづくりを活かした福祉のまち。高齢者ががぴんぴん歩くのを、市民が支える公共交通が担保する、素晴らしい町になるであろう。
 政策の推進力は、市民と行政の信頼感である。その信頼感は、たった一日でできる。我孫子には、そういう市民が多くたのである。

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2010年10月 6日 (水)

坂の街での電動自転車のコミュニティサイクル

神戸まちちゃり はおもしろい!すごい!
 10月3日から11月28日まで9時~17時【木・金休み】で、1時間乗り捨て無料、何度でも乗れるコミュニティサイクルの実証実験が始まったので体験した。皆さんも友人家族と、仕事で神戸に出て試してください。

三宮の東急イン(JR三ノ宮駅南国道JR側歩道東3分)玄関に受付があり、免許証でを提示して借りる。そごう前交差点まで戻り、フラーワーロードを新神戸駅方面に北上する。東側歩道がベター(加納町3交差点は東にのみ平面横断歩道、他は陸橋)。真っ直ぐ北上すると高層の新神戸ANAクラウンプラザホテル【元:新神戸オリエンタル】にぶるかる。その正面1階にポートがある(道の左、西側が良い)。わずか5分。ここで自転車を置く。1時間を越えると違約金1000円が必要だからだ。
 聞いてみると、始まったばかりなのに地元の人が使っているという。三宮や元町・大丸(東口駅前の神戸プラザホテル)に行くのに、乗り捨てできるから駐輪場の心配をしなくて良いので便利だという。私も、今度、九州出張に行くとき、9時に三宮東急インから元新神戸オリエンタルまで自転車で行き、新幹線に乗ろうと思う。これは便利!帰りは17時を越えているからダメだけど…。
 続いて、フル充電した別の電動自転車に乗換え、急坂を西に登って北野へ向かう。アシスト倍増の最新電動自転車は、クイクイ上る。すれ違うクルマの運転手が皆、興味深く見ている。異人館前を通り、観光客の視線を集め、北野ガーデン(元山下汽船のお屋敷・塀が残る、庭が美しいレストラン・結婚式場)の角から北野坂を下ると、ちょっとおしゃれなローソンが右手に見える。ここの北野ポートに自転車を返却。200m離れた友人のギャラリーに行き、インド料理店でランチ。またまた北野ポートから別な自転車を借りて、トアロード坂を下る。神戸は坂が多いので自転車が少なく、皆、珍しそうに見られる。県庁に立寄って、次回の会議について部局の担当者とちょっと情報交換。「先生、わざわざ…」「いや、自転車でちょっと立寄ったんや」「エッ?」
 1時間を越えるといかんので、話は立ち話。お茶も飲まずに港へ一直線、ポートタワーの前(ここにもポートがある)を通過し、ハーバーランドのモザイクへ。ポートに返却。また、別のフル充電自転車を借りて、クルーズ船コンチェルトの南部社長を突撃訪問、まちちゃりの利便性を意見交換。
 おっと、三宮での会議まで時間がない。急ぐと、三宮まで10分かからなかった。

以上、昼食、面談時間を入れて、計90分。県庁も北野もハーバーランドも、ちょっと離れていて、訪問することが少ない仲間、職員、を次々廻った。ご迷惑をかけたが、突然の自転車訪問に、皆、唖然としていた。中には、そんな便利なら、坂もきついし、お客さんにすすめてみようという話もあった。

神戸=坂、電動自転車でコミュニティサイクルという私の思いつきは、どうも、正解のようだ。

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2010年10月 4日 (月)

アリバイワークショップ

前回、説明会的講演会に参列してちゃダメよ!
アリバイづくりワークショップはダメよ!
 と言ったが、7・8日千葉県我孫子市での市民向け講演会や、11月の近畿運輸局での行政担当者向けの講演会を検討していて、本当に気づきを演出できているか?自問自答した。自分が参列やアリバイづくりに加担している?かもしれないと反省している。

無理にKJ法やワークショップにこだわらず、与えられた時間でどのような気づきにするか?
講演を聞いて、こんなことができたらなあ(青)、ココが難しいのよ(赤)、質問(黄色)と3つの長い色画用紙に書いて、黒板の近い位置に磁石で張り出すだけで、論点が整理できて、気づきが深まるかもしれない。

本日2時間目、吹田キャンパスでS1(土木・建築系)-312で授業をするが、授業の用意はしていないので、自己紹介をして、学生に「この授業に何を期待する」と尋ねてみようと思う。それにあわせて、授業構成を練り直してみたい。

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2010年10月 1日 (金)

参画、参加、参列のデザイン

最近、参画と協働はよくいわれ、条例にまでなっているが、授業ゲストの辻信一先生によれば、行政が決めた政策を追認するアリバイ・ワークショップへの参列になってはいけない。

多くのステークホルダーが自由に発話し、それをワークショップで組み立て、私発協働をするめる参加のデザインが重要だ。

さらには、住民自らが資金(ファウンド)や労力・知識をシェア(分担)し、一緒に地域経営、エリアマネージメントする参画の組織化が必要である。参画とは、行政が住民にも参列させてあげますよ、というようなものではない(たいてい、そうだが)。住民のコミュニティマネージメントを行政がサポートし、自立的な地域運営が可能なようにせねばならない。

「バスを走らせます。説明会をします。では、ワークショップでも」=説明会+アリバイワークショップに参列

「どんな公園を作るか、皆で話し合い、現地でイメージして考えましょう」=参加のデザイン(辻先生はその先覚者)

「くるくるバスを住民が計画し、乗客確保のための広報やダイヤ修正・イベントなど運営協力を、自ら広報紙広告などを集めて守る会運営を行っている。各自治会が資金を負担している」=資金、労力、知識(住民当事者によるニーズ展開)のシェアホルダーとしての住民

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