ワークショップ集中講義
28-30日、神戸ワークショップ研究会メンバーの協力を得て、ワークショップの集中講義を、吹田学舎で行っている。法学、経済、社会学、医学、工学、基礎工学などの院生、学部生、それにコンサルやシステムエンジニアの社会人が集まった。ワークショップの基礎技法から、KJ法、ファリシテーション・グラフィクス、SWOT分析を学び、模擬実習をした。
皆、好んで学んでいるのだが、講義に下を向くことが多く、グループワークでは発言が消極的で、否定的な発言が多い理系の大学院生Aさんがいる。授業者としては気になるが、直接注意してはダメだと抑制し、どうしたものかと注目していると、周りの学生が話しかけ、彼の意見を聴きだそうとする。そのうち、グループ内での発表になると、活き活きしたAさんの顔が遠くから見えて安心した。
実験に忙しい大学院生が、わざわざ全日3日間を確保し、この授業に出ようとした。おそらく、コミュニケーション力をつけたい、グループでの戦略議論の技法を身につけたいという思いで、履修してくれたのであろう。ところが、議論の中身はAさんが通常している議論とはまったく異なる構造である。おまけに、問いかけがが多く、文系の学部生がどんどん発言し、議論が飛躍展開する。傾聴は極めて難しい。こうしたなかで、眠いわけではないが、下を向いていたのかもしれない。
ところが、グループワークになると、相互の意見交換が求められる。仲間がAさんの意見を多方面から聴こうとするのである。他人の傾聴が苦手かもしれないAさんも、徐々に議論に参加していったのではないか。当初、否定から始まって自分の中だけで留まっていた発言は、皆とともに考え表現する方向になってきた。Aさんの楽しそうな顔を見て、理系の実験だけの生活の苦しさが何となくわかったし、そこを抜け出して多様な学生と議論するこの授業の意義が、私なりに納得でき、授業者として嬉しかった。
彼は、今日、どんな顔をして来るだろうか。そう、人間、やすやすと変わるものではないが、彼に少しでも楽しい時間、思いがあったら良いなあと思って、これから出勤する。
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