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2010年5月21日 (金)

バス専用レーンと多様な連携

広島は公共交通インフラをバスに頼るバス大国。バス専用レーンも多い。市街地北部・狭い旧国道4車線で歩道も右折レーンも確保しにくい道路にもバス専用レーンがある。ラッシュ時、バスはクルマの半分の所要時間で市街地に入ることができる。しかし、歩道が確保されていないバス停では、路肩を通る自転車、バイクが、バスを待つ乗客と交叉している。

バス会社としては、何とかバス専用レーンを死守したい、専用レーンに入り込むバイクは危ないので排除して欲しい。
 ところが、警察のなかには、バス専用レーンがあるからクルマが渋滞するので、バス専用レーンを優先レーンにして、クルマを捌くことが大切だと公言する人もいる。優先レーンには強制力がないから、結局、実質的にはバスの速達性はなくなる。
 役所のなかでは、ノーマイカーデーを推奨しており、強制は難しく、できるところから拡幅工事をすすめるしかないという考えが強いかもしれない。
 クルマでないと通勤できない市民、クルマの気楽さになれた市民からは、この渋滞を何とかしろという声が強い。バスを利用する市民は、バス停付近の安全を確保して欲しいという声があるだろう。沿線の市民からは、道路環境を何とかしろとの声が出つつ、個々の立ち退きとなると抵抗が強く遅々としてすすまない。市民も多様なのだ。

まったく異なる価値観が共有する道路をどうするかは難しい。こういう場合は、なぜクルマが流入してくるのかを分析する必要がある。ところが、渋滞しているクルマが、近隣の急斜面住宅なのか、遠い郊外からの流入車両なのかがわからない。また、旧国道を通過して堤防沿いに西部市街地に行くのか、市街地南部に行くのか、行先も不明。正確なデータが欲しいが、そもそも現状では調査が困難である。

こうした場合どうするか。
 まずは、バス会社、警察、市役所、ドライバー、バス利用者など個々の立場での、現状把握・認識、対処方針・政策、評価・現状課題 を整理する必要がある。運輸局は対面コミュニケーションで個々の立場の現状把握・認識、対処方針・政策、評価・現状課題 をヒアリングし、一覧を作る。
 その一覧を、連携会議の公募市民に示して、市民感覚で打開案を模索する。可能な案が出れば、議論して県市広報紙等で示し、ひろく市民に理解と意見を求める。

おそらく、学校・大口事業所の時差通勤・乗合通勤・クルマ抑制協力、堤防上迂回路の交通制限、それに加えて特定のターゲットを想定した急行バス、 以上の集中的実証実験で、ほぼ解決できるものと私は思っている。
 なぜなら、人は90cm×90cmの占有面積を有するが、クルマは一人で1.68m×6m=12倍の道路面積を占有する。バス専用レーンを廃止してクルマの道路空間利用をに2倍にしたからといって、渋滞が解消できる確信はなかなか持てない。むしろ、バスの速達性が失われ市民がクルマに乗り換えてしまい、ますます渋滞が増える可能性が大きい。
 むしろ、12倍の道路占有をするクルマドライバーの5%が、時差通勤、乗合通勤、実証実験バスへの一時乗換え など、少しの面倒を引き受けてくれれば、渋滞は解消できる。

その方向への多面的共通理解、協働的戦略的取組みができるかどうかが重要なポイントである。そのヒントは、自動車ディーラー広島マツダの取組みにある。広島マツダでは、自動車の成約記念品として、パスピー(公共交通ICカード)を配布している。クルマ販売の機会に、クルマだけに頼らないあり方を提案するこの試みは、渋滞緩和に寄与し、結果、クルマの価値を高め、クルマ販売促進の効果が想定される。こうした知恵のある市民事業者と協働して、バス専用レーンを守り、その活用、実質化を推し進めたい。 

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