日本のコミュニティ政策に欠けているもの
時代 | 地域活動組織 | 事例 | 特色・傾向 |
近代初期 | 地縁組 | 婦人会、自治連合会、ふれあいのまちづくり協議会 | ピラミッド型、ボス支配、行政下部機構、なれあい |
消費社会 | ネットワーク | テニスクラブ、NPO、ボランティア、 | 機能化、無責任化、自己満足、慈善 |
未来型 | ローカルネットワーク | 親子劇場、地域NPO(環境、福祉、子育て) | 機能化、組織責任、社会的評価、相互ケア、 |
近代初期の都市コミュニティが、ピラミッド型ボス支配であり、それが今も残って高齢化している。一方で多くの市民は、ネットワーク系の活動を指向する一方、近隣街区(小学校区)のなかでのまちづくりに関心を持つ市民も増えてきている。
しかしながら、日本のまちづくり団体(担い手)は、行政の形式民主主義のアリバイになっていることもある。したがって、市役所の個別部局の縦割りのまま、多様な地縁団体が輻輳している。
こうしたなか、1970年頃の美濃部都政は、憲法第25条の生存権規定にもとづき、市民生活基準(シビルミニマム)を決定して、コミュニティ福祉を推進した。結果、ばら撒き福祉となった。一方、自民党政府は、コミュニティセンターなどハコモノ施策をすすめた。
しかし、アメリカでは、コミュニティボードにおいて、都市計画・予算編成に対する住民協議の場となった。イタリアでは地区住民評議会ができた。要は、自治体内分権であり、財源と場を住民に担保したのである。
日本で自治体内分権が難しいのは、自治体議会における職業議員の権利と関わるからである。アメリカのように議員報酬は低く、ボランティアのようであれば、この分権は進め易かったであろう。
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