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2010年3月26日 (金)

宮本常一が撮った昭和の情景(上下巻)

 上巻裏表紙に、伊那の吊り橋を幅一杯でわたるバスの写真がある。横板だけでは重量を支えられないのであろう、縦板を轍に踏んでゆるゆるとすすむ。
 民俗学から出発して、震災を経て、コミュニティづくりとして、うっかり交通計画に手を出し、えらいところに顔を出したと、己の迂闊軽率人生に悩んでいたとき、この写真に出会った。

日本一の旅人、旅する巨人宮本は、郵便局員をしながら天王寺師範で山極先生から地理学を学んだ。「旅の中でいわゆる民俗的なことよりも、そこに住む人たちの生活について考えさせられることの方が多くなった。・・・・・・民俗的な調査も大切であるが、民衆の生活自体を知ることの方がもっと大切なことのように思えてきた」(『民俗学への旅』)。
「すこに住む人たちの本当の姿を物語るのは話の筋ー、つまり事柄そのものではなくて、事柄を包んでいる情感であると思う」」(『民俗学への旅』)。
 私は、大阪教育大学の同じ教室で学んだ後輩である。

私は交通マニアではない。土木計画ではない。伊那の山奥の人々が、どんな思いでバスで町に出ようとしたのか、村と町との交流はどのような喜びをもたらしたのか、その情感に同情(同じ心持で考える)したいのである。まちづくりは、同情のシステム化であり、心なくして計画はありえない。民俗学の素養無くして地域づくりはできない、宮本常一読まずして土木計画はありえない。
 文化財訓詁学の民俗学者はどうでも良い。世のため人のため、政策づくり、計画づくりをすすめるプロは官僚は、今すぐ、宮本を読め。なかでもこの本は購入すべきだ。本屋で手に取ればその意味はわかる。【著作権により写真コピー掲載を控える】

■CSCD社会人公開講座、締め切っていますが、森栗分のみ担当者としては受け入れたい。土日のみのもの多し。集中モノ有り。ぜひ。本日限り。
http://cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/420

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