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2010年3月17日 (水)

自動車は強い。されど、市民はもっと強い…くるくるバス開通5年目調査

住吉台くるくるバス開通5年目となる。まったくバスが走らず、青空駐車だらけの町がその後どうなったか。 「くるくるバスがもたらした持続可能なオールドニュータウン」『交通工学』42巻1号、pp25-35、2007年1月はあるが、数値調査が必要だった。その後の地域変化を神戸大学富田研究室がくるくるバスを守る会で報告をした。
①60歳台を越えると通勤がなくなりトリップ(移動:自宅→バス⇒電車⇒職場⇒電車⇒バス→自宅=4トリップ)が低くなるといわれれるが、住吉台の平均トリップは、40台2.31、50台2.24に比して、60台2.22、70台2.02、70以上1.87と、高齢者でも通勤と同様の需要があることがわかった。
②高齢者移動は、日常買物とその他目的となっている。どうも友人訪問が多いようである。
③さらに、バス路線ができて、友人の訪問を受ける16.1%、家族の訪問を受けるが17.5%となっている。高齢者は誘客施設のようなもの。
④昼食閑散期、15分ピッチの運行が30分おきになる。このとき空き巣が発生している。バスが走らないと用心が悪いから、運転手交替の昼も30分おきにしないで欲しいと住民。バス会社社長、苦笑い。善処せねばならないか。
⑤くるくるバス開通前、トリップシェア23.4%の自家用自動車は、バス導入後も23・5%と減じていない。クルマ派の人は5年たっても手段変更は困難。市バス41.8%→22.0%、タクシー21.6%→5.0%となり、便利なくるくるバス、タクシーより安いくるくるバスが、他の交通機関を食っているのが現実である。
⑥くるくるバスによる外出機会の増加は、70歳台47.0%、80以上44.1%は予想できるが、50台も34.5%となっている。クルマで通勤した後の、専業主婦の移動が困難で、くるくるバスはこれの外出機会を増やしたようである。
⑦転居しようと思っていた人がバスが走って転居不要となった人が74.5%、バスがあるから入居した人は67.9%であった。
⑧運賃200円であるが、350円でも乗ると答える人があり、4%以上の人が、お金には換算できない価値があると答えているのは興味深い。バスを走らせることと併行して、守る会で議論し、その議論をくるくるバス通信に載せ、住民が全世帯に手配りしていることが、有効だ。
⑨これらの結果、挨拶機会が増えた60.1%、住吉台に愛着ができた64.4%、自分たちの町は自分たちで良くする80.6%、永住したい66.2%、まちづくり活動に参加したい55.9%。バス路線を走らせると、ここまで住民協働・市民力が充実する。

もの凄い!交通なくして住民自治なし。

今日は、10時~天王寺区役所で生涯学習推進員つながり講座、明日はリクルート取材、明後日は広島YMCAで地域活性化講演

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