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2010年1月28日 (木)

両備の公共交通再生への実践・提案に学ぶ

岡山の両備グループはバス・市内電車に基礎を置く。2010年、その社長所感「公共交通再生の実現へ向けては必読。和歌山電鉄、中国バス、津エアポートラインの再生には眼を見張るものがあり、和歌山電鉄では利用者を15%増やし、公設民営の運営での補助金を当初見込みより格段に不要とした。駅長たまの命名者として有名だが、エムシー・ドゥコーの透明バスシェルターの地方都市(岡山)導入や、メインテナンス軽減の夜間照明付バス停の開発など、その成果と哲学は、日本の公共交通再生の希望の星である。
 小嶋社長は、銀行を辞めてバス会社を始めたとき、公共交通は早晩、継続経営困難とみた。しかし、真面目にバスの整備をする人々や、バスがなくなり移動できなくなった高齢者の姿を見て、地域の公共交通の再生を成し遂げる覚悟をしたと伺った。
 とくに、赤字補助に頼り、コスト高であれば税金補填ができるので、労賃も含め経営努力しないままであった公共交通事業者が、小泉路線で効率を問われ、なすすべもなく撤退する状況は問題である。自治体設置交通局があるからこそ、多くの公的赤字補助が自治体交通局に行くのに、市民の移動が便利にならない理由は、このあたりにある。
 ではどうするか。小嶋社長は、公設民営の再生に、公金を投入すべしとの論であるが、ここは注意が必要である。
 (自治体交通局も含めた)民営事業者が皆、両備のように効率化され、地域サービスに意識が高いとは限らない。むしろ、放漫経営のつけを赤字補助に頼り、利用者サービスを後回しにしてきた事業者のほうが多いのではないか。ヨーロッパのように、利用者ニーズにもとづき、交通事業者が連携した交通連合を提唱しようとする私が、「交通連合」を検索して驚いた。日本で「交通連合」といえば、交通労働組合の連合なのである。利用者利便よりも、事業者・労働者の都合しか検討されて来なかったのである。
 利用者のことを考えない民間事業者や、補助金を流すことしかしてこなかった自治体に、はたして公金を入れて良いのか。むしろ、地域の交通を守ろうとする心ある事業者と、少しでもクルマに頼らない町を創ろうと努力する行政が市民と協働して、交通まちづくりを計画・運営する地域組織にこそ、支援が行くようにせねばならない。(計画、インフラ、調整、経営、評価は)公設・協働民営ではなかろうか(交通路線の運行は事業者委託)。複数年度予算で協働の成果を評価しつつ、その運営組織の基金に支援が流れる仕組みが重要であろう。
 ではその交通まちづくりの地域交通連合経営体は、何から手をつけるべきか。小嶋社長は、自家用車をコントロールすることを第一と喝破している。事業者、市民、行政が一緒になって、渋滞のクルマをコントロールし、定時性を確保したバスを走らすことしかないのである。この自治体・事業者・市民の三者が連携し、警察も協力し、大胆な交通計画を実施することでしか、都市圏の公共交通の未来はない。過疎地の公共交通を維持することも必要だが、一方で地方の都市圏も支援せねばならない。

 

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