「今どき、バスや路面電車で通勤するなんて考えられない」というのが、若者(私の受講生)の感覚だ、と某バス協会の講演冒頭で言い放った。もちろん、最後は「皆さんの先輩が事業者の枠を越えてあんな立派なバスセンターを運営しているではないですか。皆で連携して、日本一公共交通が便利な町にしましょう」と呼びかけた。事後、メールでご挨拶申し上げ、運輸局からご説明をしたところでは、みなさん、機運が盛り上げってきているようです。
その受講生から以下のようなメールが来た。流石、道路計画のプロ、面白いので本人の了解なしに(授業のメール・発言はいつブログにのるかわからんことは承知済)
今日は午前中のOB訪問が伸びてしまい、授業に出席することができませんでした。申し訳ありません。 ブログに書いてあった ※箕面キャンパス(バス230円)⇒箕面駅(阪急260円)⇒梅田駅(バス200円)⇒中之島センター を 120円+130円+0円=250円(学生半額・ゾーン運賃) M君、これならバス・電車に乗ってくれるカナ?それでも、バイクで来るかな? について少し考えてみました。 仮に箕面キャンパス周辺に住み、中之島センターに通学するのであれば、私の場合は豪雨や雪でない限り、上記の条件でもバイクを使うと思います。 というのも、バイクの場合、府道一号→中央環状線→御堂筋でおよそ 30分で目的地にいけます。上記の公共交通を使うならば1時間30分くらいかかるのではないでしょうか。また、バイクの場合は時間に縛られない(行き帰りとも)こと、これら二点が最もおおきな理由です。
ではどうすれば公共交通を使うのか。上記のように安くすれば使うというわけではない。最も重要なのは利便性だと思う。学生はお金がないから安くすれば公共交通への転換は図れるかもしれないが、通勤を考えた場合、お金は問題ではない(通勤費支給制度)。しかし、公共交通の利便性を向上するのにも限界がある。そこで私が考えるのは、郊外からの自動車の乗り入れの抑制だと思う。すべての道路でなくても、渋滞がひどい御堂筋を午前だけ有料化するといったように自動車を不便にする施策がなければ、いくら公共交通の利便性を向上させても効果は少なくなってしまうと思う。つまり、パッケージ的な施策が重要だと思う。これは大阪についての場合だが、広島ではどうすればよいか。
授業で出てきた運輸連合をつくるのは当然重要だと思うし、それでうまくいくかもしれない。しかし、私のイメージでは、公共交通(路線バス、路面電車)は自転車や自動車より遅いということが最もネックである。私の実家、金沢では、路線バスが発達していますが、ほとんどの路線では自転車で行ったほうが早い場合が多い。雪が降れば、歩いて行ったほうが早い場合すらある。(実際に冬の高校通学は歩いて行った方が早かった) だからこそ、私は公共交通(路線バス、路面電車)に迅速性を求めたい。たとえば、路面電車や路線バスに極端なPTPSを導入し、「路面電車が止まるのは駅だけ」「信号には止まらない路面電車」を実現できればと思う。それも時間指定(7:00-10:00、17:00-19:00など)で行えば、通勤以外の自動車交通には負担はかからない。 私は広島には1,2回しか行ったことはないが、地方都市内の公共交通ではPTPSは非常に有効な施策であると思う。
PTPS=バスレーンの確保、バス優先信号制御などを実施することにより、バスなどの大量公共輸送機関の優先通行を確保するシステム。Public Transportation Priority Systems
実は私は、あまりPTPSを信用していなかった。バスレーンに入ってくる自動車や、信号規制もたいした効果があがっていない事例を見聞きしていたからだ。しかし、それは中途半端なPTPS、意味のないバス優先レーンなどで誤魔化しているからだとわかった。極端なPTPS、素晴らしい発想、眼が覚める思いがした。広島の事業者・行政のみなさん、やりましょう。この若者の感覚に学びましょう。
それにしても、この受講生の説得力は嬉しくなった。こういう青年は採ってほしいなあ。
最近のコメント