大阪水辺とコミュニケーション
友人の桂坊枝さんの独演会の後、天満天神繁盛亭から歩いて水都2009に出かけ、つれあいと1000円で40分クルーズに乗った。船から手を振ると、幾人かは振り返す。なかなか欧州の観光都市のようには行かない。皆、ぎこちない。
でも、人はなぜ遊覧船に乗ると手を振り、水辺の人は振り返したくなるのか。バスから手を振る人は珍しい。自動車から手を振るのは皇室の人のみ。鉄道でも、鉄橋を渡る列車に手を振る子どもはいるが、駅で電車に手を振ることはあまりない。でも、船に乗ると手を振りたい。
手を振るとは、貴方と私はこの都市空間を共用し楽しんでいますよという共通理解の相互確認。おそらく、鉄橋も含めて都市における水辺は、空と水が織り成す公共空間だからだと思う。最近は電線やケーブル線が低い位置で張り巡らされ、都市には自由な空もない。商業ビルや自動車ばかりの道路は、私的空間の集合であり、私的と私的の間で、自由なコミュニケーションが難しい。皇室や大統領、ときにはオリンピックの聖火リレーに手を振りたいのは(イデオロギーは別として)、都市における公とコミュニケーションしたいからだ。マラソンは、自動車を停めて都市景観全体を公共化する空間設定だからだ。
水都2009のイベントはともかく、水辺に人々が集まり、遊覧船が行きかい、ドラゴンや大きなひよこが浮いている物語があれば、楽しい。水辺のコミュニケーションこそ大阪の魅力と思い知った。船で隣席になった鹿児島から来られた方が思わずもらした言葉、「大阪は河の町ですね」は至言。鹿児島が内湾と桜島の町であるように・・・。
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