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2009年9月

2009年9月30日 (水)

角谷嘉則『株式会社黒壁の起源とまちづくりの精神』

豊中まちづくりフォーラムで角谷先生の講演を聞いた。今まで断片的に聞いていた黒壁の実像が、初めて見えた。素晴らしい。

黒壁の根幹にある光友クラブが明治の都市型近江商人から宗教家になった西田天香の思想=真宗の報恩で成り立ち、その解釈講師が蚕業に関わった福田長夫で、熱心な聴講生が縮緬業に出自し京都烏丸の大ビルオーナー長谷定雄(黒壁初代社長)らしい。

縦糸に長浜の絹織物が伸び、横糸に浄土真宗が縫いこまれいる。黒壁の二代目社長笹原の掲げた「無一物無尽蔵」(維摩経)は、衰退した70年代の長浜をいっているのかもしれない。曳山祭りの負担金さえ危うくなった山組や北国街道町衆の会のまちなみ協定、残飯が流れ汚れた米川の掃除を始めた自治会・商店街(とくに旧遊廓で山組に参加できない人々の努力)。衰退し無になった長浜から、三物が動き、今日の無尽蔵につながった。

豊中のまちづくりを主導した元副市長の芦田英機さんの言葉によれば、モデルになるモデル事業はないと。確かにファッションショーを見上げていてもトップモデルにはなれない。

では豊中はどうするのか。所詮、衛星都市にすぎない。長浜のような宗教哲学はない。縮緬のような歴史的縦糸もない。豊中の良さ「無一」を皆で探すしかなさそうである。問題点ではなく、庄内の唯一の強み、曽根の唯一の魅力、岡町の唯一の優越点・・・。これを皆で確認し、まちづくりフォーラムで語合うことではなかろうか。立派なホテルでの役所支援の無料講演会にしてはいけない。皆で膝詰めで語合う、本当のフォーラムが必要なのではなかろうか。

講師の角谷先生は33歳の気鋭。一生懸命、現場に学ぼうとしている。難しい立場のなかで頑張っている姿に、昔、高校教師の傍ら論文を書き続けた20年前の自分を見ているようで、密かに大拍手した。今は腑抜けの私が彼の前に出るべきではないかなと思い、懇親会には出ず、本を買ってそっと立ち去り、深夜に読んでいる。角谷さん、頑張れ!

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2009年9月27日 (日)

鉄道橋上駅、連続高架のみが、唯一の方法か?

田舎といわれる某小都市の駅を視察した。団地の立派な道路、橋上駅に比べ、旧市街の駅は、進入道路が狭く、駅前広場も狭く、バス乗り場も手狭、駅前には商業施設もなく、橋上駅(線路の上に駅舎を置く)にエスカレーター、エレベーターをつけてバリアフリー、お金があるなら駅下を道路が通過というのが、常識的だろう。

鉄道会社は、駅構内の店舗で投資を回収しようとするが、商店街はますます疲弊する。車椅子はエレベーターで橋上駅にあがり、駅構内のエレベーターでまた降りる。これが、本当にバリアフリーといえるか? そもそも、支線の一部単線で本数も少なく、急行電車の通過もない駅で、本当にそうした大掛かりな工事が必要か。そんなことをしても旧市街の狭い旧国道(短期的に拡幅の可能性がない)に平行に接する駅前は混乱する。狭い敷地の中途半端な商業施設は、駐車場が2000台分ある団地の中央センターに比べ、いかほどの交流センターになりえるか。もし、大きなビルにできても、地方都市では行政施設と100円ショップが入るだけになってはいけない。

もしお金があるなら、東急田園調布駅、小田急成城学園のように駅部分のみ半地下にして、線路の上の平面に駅舎、広場をつくるのが、歴史ある旧市街の尊厳を守り、地域との一体感をつくるのに有効。鉄道の左右も道路でつながる。完全バリアフリー。エレベーターも構外には必要ない。

もしお金がないなら、現状の駅を残し、バス乗り場の待合環境を飛躍的に良くし、ホームに直結改札を作る。構内橋にエレベータを付設するだけで良いではないか。どんな施設を作るかではなく、人々の移動をどう保障するのか、誇りある歴史をどう守るのかに、まちづくりの目的を持っていくのが21世紀ではないか。

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2009年9月25日 (金)

新宮秀夫「幸福論」「エネルギー節約は最大の資源・幸福の基礎」

眼から鱗のお話。以下、理解できる範囲での引用。

U(感覚)=klogS(エネルギー)+h(k・hは定数)

元は、空気・水などの流速と、圧力との関係式であるが、人間の満足:Uを2倍にしようと思えば、2×2のエネルギー(物理量)が必要だ。経済で言えば、効用Uは、供給の二乗に比例する。Sが0のときには、Uはー∞となり、計り知れない不安を示す。

逆に言えば、S=exp(U)で、エネルギーを増やせば増やすほど、ありがたさ(U)は低減する(限界効用の低減)。幸福:限界効用の大きいとき、供給Sは少ない。不満足は幸福の起源、すなわち「幸福と満足の相反性」が存在する。欲望のエネルギーGを従属変数に置き、G=exp(U)とすれば、欲望は加速度的に増えることがわかる(発散性の原理)。環境問題の根幹がここにある。だから、U(幸福感覚)を従属変数にして、Sを節約しようと考えることが、最大の社会資源なのである。

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2009年9月24日 (木)

大阪水辺とコミュニケーション

友人の桂坊枝さんの独演会の後、天満天神繁盛亭から歩いて水都2009に出かけ、つれあいと1000円で40分クルーズに乗った。船から手を振ると、幾人かは振り返す。なかなか欧州の観光都市のようには行かない。皆、ぎこちない。

でも、人はなぜ遊覧船に乗ると手を振り、水辺の人は振り返したくなるのか。バスから手を振る人は珍しい。自動車から手を振るのは皇室の人のみ。鉄道でも、鉄橋を渡る列車に手を振る子どもはいるが、駅で電車に手を振ることはあまりない。でも、船に乗ると手を振りたい。

手を振るとは、貴方と私はこの都市空間を共用し楽しんでいますよという共通理解の相互確認。おそらく、鉄橋も含めて都市における水辺は、空と水が織り成す公共空間だからだと思う。最近は電線やケーブル線が低い位置で張り巡らされ、都市には自由な空もない。商業ビルや自動車ばかりの道路は、私的空間の集合であり、私的と私的の間で、自由なコミュニケーションが難しい。皇室や大統領、ときにはオリンピックの聖火リレーに手を振りたいのは(イデオロギーは別として)、都市における公とコミュニケーションしたいからだ。マラソンは、自動車を停めて都市景観全体を公共化する空間設定だからだ。

水都2009のイベントはともかく、水辺に人々が集まり、遊覧船が行きかい、ドラゴンや大きなひよこが浮いている物語があれば、楽しい。水辺のコミュニケーションこそ大阪の魅力と思い知った。船で隣席になった鹿児島から来られた方が思わずもらした言葉、「大阪は河の町ですね」は至言。鹿児島が内湾と桜島の町であるように・・・。

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2009年9月18日 (金)

宣伝+政策実現の基礎理解

土木文化カフェ(その1)「空海の密教から、生活者視点の技術計画を再検討する」
日時 9月19日[土] 16:00-18:00
定員 30名(事前申込制)
土木工学は正義を目的とするが、技術の先行により市民目線から離れることも少なくない。空海は古代宗教者であり、かつ土木博士である。空海の曼荼羅思想から、土木計画の本来あるべき方向を議論したい。
ゲスト 秋山孝正(関西大学教授)
     藤井聡(京都大学教授)
カフェマスター 森栗茂一(大阪大学CSCD教授)
[申込方法]kurimori2007@maia.eonet.ne.jpに件名「土木文化カフェ」でメール送付

再生塾の研修で、某府県のMさんから、グループワーク論を教えてもらった。これをヒントに政策実現の基礎理解を提示する。思い当たるところがありますねえ・・・。

■課題発見■
 気づかなければ変わらない
 気づきの阻害要因
   存在軽視(何も問題がない)
   意味軽視(大した問題でない)
   可能性軽視(できっこない)

■すすめ方
 集団漸進
 私発協働
 混乱膠着は優位機会
 多視構造化

■ルール
 傾聴第一、論争第二
 伝達責任、傾聴責務
 想像力は創造力
 評論・常識は禁止
 対案論争

■禁止事項■
 同調圧力(上司、多数意見に従う)
 リスキーシフト(行け行けどんどん)
 無作為責任(まあエーか)

■政策、施策、対策の明示化
 ビジョンによる政策、戦略のある施策、戦術のある対策。ここを混乱してはいけない。

■戦略的小島式SWOT
 ① あるべき姿を提示
 ② 外部(機会、脅威)を把握
 ③ 内部の強み、弱み
 ④ 強みの強化>弱みのカバー
 ⑤ チェック・・・強みの更なる強化/リスクマネージメント
 ⑥ チェック・・・提案ある弱み指摘

 ⑦ 改善案の優先順位決定

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2009年9月17日 (木)

福澤諭吉『文明論の概略』第1章

昔年の異端妄説は今世の通論なり、昨日の奇説は今日の常談なり。然ば則ち今日の異端妄説も亦必ず後年の通説常談なる可し。学者宜しく世論の喧しきを憚らず、異端妄説の譏(そしり)を恐るゝことなく、勇を振て我思ふ所の説を吐く可し。〈だから私はときどき嫌われるが〉或は又他人の説を聞て我持論に適せざることあるも、よく其意の在る所を察して、容る可きものは之を容れ、容る可らざるものは暫く其向ふ所に任して、他日双方帰する所を一にするの時を待つ可し。〈そや、この余裕が必要!心したい〉即是れ議論の本位を同ふするの日なり。必ずしも他人の説を我範囲の内に籠絡して天下の議論を画一ならしめんと欲する勿れ。

幕末激動の時代は、2年前の藩幕の常識が、一気に非常識になる時代だった。今日の日本も、改革と称する新自由主義が常識の時代から、鳩山内閣への変わり様である。10年前はコミュニティバスと叫んでいたが、今はデマンド…。違うやろ!どんな町にしたいのか、そのためにはどんな手があるのか、自分で考え、異端だろうが妄言だろうが、異論に耳を傾けつつ、ガンガンやったらエーということ。

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2009年9月16日 (水)

民主政権国交大臣に期待する

国交省の一般会計は、H20度で5兆6347億円。道路特会が5兆6102億(H19年度)。かろうじて本会計を超えなくかつ最大という恣意的均衡。その理由のひとつが、渋滞時間×1.3人乗車/台×2300円/時間・人=12兆円 という計算。渋滞で12兆も損益が出るのだから、5兆くらいは別税よ!ということ。では、交通事故の遺失利益や、環境損益を入れ込まねば不公平。鉄道が一人を1km運ぶのには18gのCO2が必要だが、バスは51g、自動車は172g必要なのだ(国交省資料)。

国交省会計のうち、公共交通に関しては、新幹線が3069億、都市幹線鉄道が1516億にすぎない。クルマのための会計に比して2.7%にすぎない。道路特会は、クルマの人が支払っていうのだからという声もあるが、自動車はCO2にしても、交通事故にしても、道路を横断するのになかなか変わらない歩行者信号、お年寄りに高い階段を登らせる陸橋、自転車が安心して走れない路側駐車など、ありあまる負担を国民に強いている。ドイツでは、燃料税を公共交通に入れ込むのは常識である。フランスでは、地方政府が交通税をとっている。クルマだけを優遇しているのは、日本だけである。

高速道路を無料にするなら、クルマに環境税を課するべきであろう。その環境税の一部を公共交通に振り分けるのは当然である。昨年度、地域公共交通の活性化再生策に、44億、今年が70億?(補正が未定)。環境税がなくとも、公共交通に関わる計画・実証実験の200億くらいは、赤字バス路線廃止・限界集落を抱える地方支援として当然ではないか。

鉄道に理解の深いM大臣だと、良いなあと思っている。

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2009年9月15日 (火)

第三段階地域環境政策の実現条件

どんな地域環境政策を提言しても、実現できる場合とできない場合がある。それはなぜか?いわずもがなだが、

①人の利
②時の利
③地の利

①有能でこれからの第三段階環境政策を理解する有能な職員が存在することはいうまでもないが、それを支える行政トップの判断が必要だ。トップの判断により基本方針を定め(ときには法定に基づく会議)ることが必要だ。担当者が変わっても政策が継続される担保が必要だ。

②時代状況:鳩山25%削減ドクトリンと米国の動きをみれば、新産業で新しい方向を模索しようとしいう都市は、この期に手を挙げねばならない。

③ではどのような第三段階を実施するのか。都市の特性を引き出し、そこから政策を練り上げる必要がある。都市の歴史や市民感覚のあり様を考慮せねばならない。

①は絶対必要条件だが、②③はどちらかがあれば、できないこともない。が、②③を意識してビジョンを練るほうが、スピード、政策の内部影響力・外部影響力がまったく異なることになる。

参考文献:「戦後消費史と槌田論争」 を20世紀の業績2000年にアップしました。

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2009年9月14日 (月)

地域環境政策の三段階

近世社会は、し尿を百姓が肥料として集めた。ほとんど出ない塵芥も、町の裏側の空地に埋められ畑の肥やしになった。そもそも、チリやアクタはあったが、ゴミが出る暮らしではなかった。ゴミ(という事実と言葉)が登場したのは、大都市では昭和初期である。当初は都市衛生として、箱クルマ回収であったが、昭和30年代に入って自動車回収が始まった。増大するゴミは、大量に埋め立てられたが、温暖化防止として分別によるゴミの減量が環境政策として求められた。衛生局から清掃、そして環境局への転換である。(第一段階の都市環境政策)

さらには、地球環境保全として、都市のCO2削減が求められる。究極は都市としてのISO14000達成である。実際には、削減目標どころか、CO2が増加する都市も多く苦戦している。ところが、ここのところの不況で、経済活動が鈍くなり、何とか目標達成の見通しが出ていると言う。(第二段階都市の環境政策)

極端に言えば、経済活動が落ち込めば環境目標が達成する?というのは奇妙。むしろ、市民と協働してクルマに頼りすぎないまちづくり、大量消費型でない暮らしづくりなど、持続的な地域づくりをすすめるプロセスが大切なのではないか。ゴミの量やCO2の数値達成は当然である。しかし、第三段階の都市環境政策は、協働での、命活かしの持続型まちづくりではないか。モノを活かすということは、人を生かすことである。エコやさしいが求められているのである。大切なのは達成数値だけではなく、持続型都市の包括的ビジョンであり、それに至るプロセスである。

欧州環境ビジネスの先を、鳩山25%削減ドクトリンが行く。ISO14000だったり、LRT(低床トラム)、風力発電機、太陽発電システム、それに視察観光と、戦略的に環境首都に声を上げるのはどの都市か。環境と持続型協働都市を基盤に、グリーン産業に手を挙げるのはどの都市か。

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2009年9月13日 (日)

鳩山環境政策をにらんだ都市環境政策

民主党の1990年比、2020年25%削減について、産業界からは拒否反応があり、海外からは高い評価が出ている。EUの20%削減を考えると、CO2削減の主導権を握り、中国・インド・途上国の参加を促し、エコ産業のマーケット開拓をねらっている。途上国に環境技術を移出できれば、その技術が世界標準となるのだから。

そもそもCOP3(京都議定書)において、1990年を基準としたことにより、東欧の無茶苦茶な排出を前提として、環境ビジネスの主導権がEUに握られた。米国が離脱した一因である。米国でも、ワックスマン・マーキー法により、16ー7%削減がいわれている(シナリオにより異なる推測値)。

世界や国の方針が明確になったのだから、自治体は、倫理的個人的な環境運動はやめて、環境による都市価値を高め、市民協働のまちづくりをすすめ、環境価値の高い市民と都市をグリーン産業誘導の市場実験場、ヒンターランドとすべき戦略を持って欲しい。

新予算には、今までの環境モデル都市指定の枠組を一気に越えるメニューが出てくる。これに呼応するのは、どの自治体であろうか。

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2009年9月11日 (金)

民俗学会と土木文化カフェ

私の博士論文は、『河原町の歴史と都市民俗学』、正真正銘の民俗学。最近、日本民俗学会談話会で「高度経済成長以後における民俗学って何ですか?」というパネルをし、博物館や自治体史編纂、文化財行政、自分誌などにおける民俗学活用を議論するようだ。(私も池田市史編纂委員長)しかし、人々が経済や文化を所有しており、それをミクロ、マクロに分析する研究方法に限界がある。経済や文化の融合のなかで、人々は活かされており、その暮らしを包括的に、内部者外部者のコミュニケーションから見るのが「さるくの哲学」。環境や交通、さらには減災対策といった外部経済の内部化も、生活経済の地域マネージメントとして練り上げる必要がある。個別経済というモノだけに対処しようとするから、文化や環境を見落とす。本来、生活世界から包括的に政策を示す可能性のある民俗学が、個別の文化財しか見ないとしたら、残念。災害の伝承を示した「長崎さるく」「新長田さるく」(9月6-9日)や、住民協働による環境政策。「世のため人のため」(柳田國男)、私は民俗を活用するが、民俗学研究者は学会内部で思考で留まっている。この記事も視野に入らないとしたら、バカの壁?

物事には、人、時、地の利が必要(11日)。民俗文化財の趣味的に内部議論しているから、民俗学という地の利を自覚できない。時代は、最先端の土木研究者と民俗学が語るところまで来ている。以下の試みに、文科系の学生・研究者の参加を期待する。今、人が求められている。

土木文化カフェ(その1)「空海の密教から、生活者視点の技術計画を再検討する」
日時 9月19日[土] 16:00-18:00
定員 30名(事前申込制)
土木工学は正義を目的とするが、技術の先行により市民目線から離れることも少なくない。空海は古代宗教者であり、かつ土木博士である。空海の曼荼羅思想から、土木計画の本来あるべき方向を議論したい。
ゲスト 秋山孝正(関西大学教授)
     藤井聡(京都大学教授)
カフェマスター 森栗茂一(大阪大学CSCD教授)
[申込方法]kurimori2007@maia.eonet.ne.jpに件名「土木文化カフェ」でメール送付

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2009年9月10日 (木)

災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ⑥

長崎さるくのマップに学んだ「新長田さるく」を、大阪大学大学院共通科目のゲストとして実施した。薬学、朝鮮語、建築、理学、社会学の多彩な専攻から集まった学生を案内した。予定120分だったが、200分になってしまった。久しぶりに歩き、見て、聞いいてみると、発見が多かった。

①鉄人28号の実物大モニュメントの防災公園設置については、地元でも異論は多かったが、外から来る人が「鉄人の手を突き出している姿に、震災に負けない意気込みを感じた」というので、大切にしたいと語る。
②丸五市場はアジア屋台や食堂が入り賑わっていた。空き店舗に三国志の石造を置くという。補助金がついて期間限定だが、これもありか。
③地元が、阪神高速工事用地を借り受け、運用してきた真陽ガーデンは、あっけなく高速ジャンクションの工事現場に変わっていた。
④震災時、墨田区向島の防災まちづくりから緊急物資として送られた天水尊は、同じ場所で発見できず。真野まちづくりの元会長の材木屋の角にあったのだが、建売住宅に変わっていた。
⑤真野ふれあい住宅は、外装に取り付けられた木板が古くなり取り外されていた。共有リビングも共益費が必要なのであまり使われていないようだ。当初、コレクティブの練習を受けた入居者の表札も変化した。被災当時の皆さんの声が耳の底に残る。ショック。
⑥本町筋のビッグハートは、震災のときに、見ず知らずの人から「10年後来るからね」といって義捐金を渡され感激し、他にも全国から絵手紙をもらったことから始まった。毎年10月には、相変わらず家具屋さんが作った枠に、小さなハート型風船をみんなでつけている。商店街に座り込み皆で作業するとき、「毎年、大変やなあ」という声があったとき、「みんなで力を合わす一年に1回の作業。風船も膨らませんようでは、希望も膨らまん」と一喝する声が飛んだという。 

 ①と②は、都市計画局か産業局か、国費か県費か市費かの仕分けは別として、公費の使い方として、ハコモノでない点、都市計画区域外も含めた活動である点、公金jの使い方として評価できる。とくに丸五のアジア屋台は、市場のもとあった雰囲気を活かした活動で感激した。震災直後、アジアタウン推進協議会などの市民活動が入り込みイベントをしたことがあったが、そうした努力が、断絶しながら通奏として地元に受継がれている点、素晴らしい。⑧のビッグハートも、いろいろありながら自前で継続している点が素晴らしい。丸五のイベントも補助がなくなっても継続できるようすることが課題。このブログを見た人はぜひ行ってほしい。火曜休み。9月18日(金)は18-22時、ナイト屋台。次は10月16日。

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2009年9月 9日 (水)

災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ⑤

長崎さるくは、都市災害の記憶を見事に伝承化している。そこで、神戸の震災の記憶を伝承化できないか考えてみた。デザイン、書き方は長崎に学んでいる。Img_00021 Img_00041

それに専門家や教師用に解題をつけてみた。新長田さるく解題 修学旅行の申し込みは、神戸まちづくり研究所まで

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2009年9月 8日 (火)

災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ④

長崎さるくは楽しい。長崎の町を楽しく、そしてその裏側にある災害の記憶を示してくれる。

しかし、日常の長崎は、市電が走る優雅な町だと期待して歩いたが、その現実はクルマ往来の激しい町であった。さるくの出発バスストップに行くのに、陸橋の長い階段を昇り降りせねばならない。まち歩きの出発点の市電停留所に行くにも、陸橋以外では行けない停留所が多い。裏通りは、さるいている横を、猛スピードでクルマが追い越して行く。

長崎駅は立派な駅ビルにデパートが入るが、駅前に片側4車線の広い道がある。庶民的な駅前商店街や県営バスターミナルへ行くのに、横断陸橋を昇り降りせせねばならない。しかも、バス専用レーンは、ラッシュ時でも守られず、バスを尻目に、クルマが横行している。

長崎は、イメージほどには良い町ではなかった。クルマが中心の町は、がっかりだ。行ってみたい温泉地として有馬はトップクラスだが、がっかりした温泉地としてもトップクラスだ。理由は、狭い道路にたくさんのクルマが集中し、うかうか歩けないからだ。クルマ横行の長崎には、たとえさるくが楽しくとも、もう一度行きたいとは、思えないのである。_rr_07_02_005_30

私の撮った鉄道写真(堀越 通生)から

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2009年9月 7日 (月)

災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ③

中島川石橋めぐりを歩いた。

長崎は山に囲まれ、その中央に中島川が流れ、石造りの美しい橋が、貿易商や唐通事(通訳)、寺院が資材を投じて架けた。この石橋群こそ、長崎の富の象徴であり、都市景観の核である。その橋が、大きな水害で何度も流され、昭和57年の大水害で壊滅的な被害を受けた。しかし水害ごとに橋は再生されてきた。長崎の橋を巡るとは、水害の歴史をたどることだと気ずいた。Megane11

長崎は山に囲まれている。港は内海となり深度があり良港となった。それゆえ栄えたが、造船所のみならず三菱重工の兵器工場が立地し、それが雲間から見えたために原爆が投下されたと聞いた。一方で、山の額まで市街地が広がるが、ひとたび大雨があれば、水害が頻発した。長崎さるくを巡ると、原爆と水害、長崎の都市災害かいま見える。

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2009年9月 6日 (日)

災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ②

原爆の被災記憶を長崎さるくで歩いた。

被災経験のある語り部は高齢になり、伝承し、被災地や平和公園などを案内することは難しい。被災経験のある山里小学校資料館の案内人も、さるくガイドはしていない。平和公園で語りかける1931年生まれの被災者もさるくガイドはしない。最近まで、被爆体験は誰も聞いてくれなかったので、被爆体験は語るもの・巡るものとは思えなかったという。

では、被災体験のないさるくガイドが案内し、慰霊碑や小学校で、被爆体験者にバトンタッチすれば良さそうなものだが、そう簡単ではない。

観光ボランティアやさるくガイドは、よく勉強している。「研究」と表現するガイドもいた。しっかり郷土史を研究してその成果をガイドで示すべきであり、勉強もしないで目立とうとガイドするのは軽薄だと、私が会った観光ボランティアは言う。

しかし、「研究」成果発表は長くなる。案内される側の立場に関わらず、研究成果を「ご承知のように」と延々と話す。結果、平和公園で参拝を呼びかける語り部の前を「時間がないから」と通り過ぎ、山里小学校資料館では「時間がないので5分」と説明をせず、資料館案内人に説明を依頼もしなかった。

資料館と慰霊碑だけでは充分伝わらない。町をさるき説明板を読み、ガイドの説明を受けるのも良し。しかし、生身の被災体験の語りに耳をすませ、市民が手作りした体験談資料を現場で見せていただき語り合う、現場コミュニケーションこそ重要ではないか。町や人の語りを避け通り過ぎ、語り部のいないところで「研究」成果を示されては惜しい。

「研究」とは知識の塊ではない。データーと現場コミュニケーションとが一体になって感じ、考えることから始まる。訪問者は、知識の受け売りや羅列を求めているのではない。資料を元に、浦上の暮らしのなかで、包括的に原爆伝承にコミュニケーションし、感じたいのである。感じるとは、被災にイマジネーションをはたらかすということである。建物をながめ、慰霊碑をめぐり、知識をひけらかすだけでは、伝わるものは少ない。

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災害の記憶と伝承:長崎さるくに学ぶ①

原爆の被災記憶はどのように伝承されているのか。長崎さるく(まち歩きガイドツアー)に参加してわかった。

長崎さるくには、50近くのコースがあるが、原爆被災に関しては、
(18)アンゼラスの鐘の丘を訪ねて~原爆落下中心地・平和公園から浦上天主堂~
(19)被爆校舎で耳をすませば ~原爆落下中心地から城山小学校へ~
(20)世界で2番目の一瞬に思いをはせて ~旧長崎医科大学、山王神社から坂本国際墓地へ~
がある。(18)をガイドについて120分「通さるく」した。後の2コースは地図を持って一人で「遊さるく」した。

一方、(財)長崎平和推進会議には継承部会があり、40数名の語り部がいるが、高齢のため実際に、原爆資料館で語れるのは30数名である。平和推進会議では、平和案内人を公募して、周辺慰霊碑めぐりや被爆建物巡りを実際している。平和案内人のなかにはさるくガイドをしている人もいる。

(18)のさるくマップを見て驚いたのは、1867年の浦上四番崩れにより、3384人のキリシタンが捕えられ西国諸藩に送られ、明治政府により弾圧を受けたことである。長く潜伏していたキリシタンが、幕府後によもやの殉教に見舞われた。その浦上が原爆で多くの被害者を出し、キリスト教徒が多かった。マップは原爆被害とキリスト教徒受難を包括的に描いている。「怒りの広島、祈りの長崎」の意味が、歩いて初めてわかった。碑めぐりではわからない。

国立の祈念館もある。しかし、慰霊とは基本的に個人が行うものである。ただ、被災は都市共同の記憶として、資料館や慰霊碑、被災建物、それに人々の語りによって伝承されていかねばならない。資料館と慰霊碑めぐりだけでは、災害の記憶は伝わらない。地域の暮らし・歴史に包括された被災の記憶をみたとき、初めてその意味が理解されるのである。

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2009年9月 3日 (木)

持続可能なまちと交通=再生塾応用編(お知らせ)

『再生塾―持続可能なまちと交通をめざして』では、交通政策に携わる行政団体、コンサルタント、交通事業者、学生の皆様などを対象として、総合的な交通政策や地域の交通問題を主導して計画策定や事業を推進するために有用な理論的・実践的情報を提供し、参加者相互の意見交換を通して”ビジョン”と”夢”を共有する『塾』の活動を進めています。
「アドバンスド・コース」は、実際のフィールドでのケース・スタディを通して、経験豊富な講師と意見交換をしながら実践的な研修を行います。
総合的な交通政策の推進に意欲のある皆様の参加をお待ちします。
1. 塾の概要
(1) 研修内容
少人数のグループで、実際のフィールドにおけるケースを取りあげ、そこにおける交通政策課題に取り組み、担当するファシリテータとの意見交換をしながら実践的な『提言』を取りまとめる。取り組みを通したファシリテータとの議論を通してビジョンや技術などを共有する。
(2) 定員 若干名
(3) 参加費用
2万円/コース(参加決定時に納金していただきます)
ただし、NPO 法人持続可能なまちと交通をめざす再生塾の会員及び賛助会員は無料で参加できます。
(4) ファシリテータ
「再生塾」の会員がファシリテータを務めます。
主なファシリテータは、以下のとおりです。
土井 勉 神戸国際大学都市環境・観光学科教授
中川 大 京都大学大学院工学研究科教授
正司 健一 神戸大学大学院経営学研究科教授
森栗 茂一 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授
村尾 俊道 京都府
本田 豊 兵庫県
東 徹 (社)システム科学研究所
大藤 武彦 (株)交通システム研究所
(5) スケジュール(予定)
日時 会場 概要
第1 回 平成21 年9 月12 日(土), 10:00~17:00
新大阪丸ビル新館【709】
開講式,オリエンテーション、グルーピング、研修計画、各コースの政策課題の共有等
第2 回 平成21 年10 月24 日(土), 10:00~17:00
大阪ドーンセンター【セミナー室】 現況把握,現状認識と課題共有
第3 回 平成21 年11 月28 日(土), 10:00~17:00
エル・おおさか 南72 会議室
中間報告,課題と政策の方向性に係る意見交換等
第4 回 平成21 年12 月19 日(土), 10:00~17:00
エル・おおさか 南72 会議室
報告会,提言に向けた取り組みに係る意見交換等,閉講式
平成22 年1 月~2 月 (未定) 報告を兼ねたセミナー等
注1).この他、メーリングリストによるディスカッションや、参加者が連携して、現地調査、ファシリテータも参加した小ワークショップ等を実施する場合があります。
注2).各ケースの進捗状況によっては、スケジュールが変更される場合があります。
2. 参加申込み方法と選考
(1) 参加申込み方法
参加を希望される方は、氏名、所属、役職、連絡先(電話、E-Mail)、取り組みたい課題及びフィールドとその理由(400 字以内)をお書きのうえ、できるだけ早く平成21 年9 月1 日(火)までにE-Mail もしくはFAX で下記にお申込みください。
■ 参加申込み先(問い合わせ先)
「特定非営利活動法人 持続可能なまちと交通をめざす再生塾(略称:NPO 法人再生塾)
事務局:小澤,澤村, Phone:06-6101-7001,FAX:06-6101-7002
E-Mail:seminar@saiseijuku.net URL:http://www.saiseijuku.net/

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続続続:高齢者免許返納制度のコツ

クルマに乗れなくなったら人間じゃないとばかりに、福祉輸送しかない町。高齢者をダシに、バス会社とのしがらみで、近くにバス路線のない高齢者にまで配られる敬老パス。実際は、元気で移動しようにも、どんどんバス路線を削られる。高齢者が、欲しい移動サービスを受けれないので、死ぬまでクルマに頼らねばならない町は、誰にとっても豊かとは言えまい。

免許返納制度が「高齢者から免許を取り上げる」というのは、まちづくりの将来ビジョンを含めて考えたとき、バランスの欠いた議論だ。免許返納制度を活用して、安心してクルマなしでも暮らせる町をどうつくるのか。そこが課題なのだ。高知県は、なぜ、高齢者の引き起こす死亡事故比率を減らしているのか。クルマなしでも、高齢者の暮らしを尊敬をもって守ろうとしているから、高齢者は安心して免許返納できるのではないか。高知県と同じ政策のように見えても、その作り方の哲学が大きく異なれば、高齢者はハンドルを手放さない。そういう町は、誰にとっても、良い町ではなく、活気がない。活性化は、多様な人々の喜びと安心が作るのだから。活性化として、商工会議所が独自予算で安心乗合タクシーを走らす伊達市は、良い町なのだ。

ということで、高齢者免許返納制度について、4ヶ日こだわった。お付き合いくださりありがとうございました。

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2009年9月 2日 (水)

続続:高齢者免許返納制度のコツ

高知県土佐清水市では、免許返納者に(1)中央商店街の18店の商品1割引き(2)市内5社のタクシー料金の1割引き(3)市内周辺の路線が乗り放題となる高知西南バスの定期券(1カ月で5000円)(4)運転経歴証明書の発行手数料(1000円)を無料化(5)スーパー2店の商品券(2000円分)の交付。をしている。

高齢者のバスの無料や、100円/一乗車 は、各地でおこなわれている。それに比べれば、決して良い条件ではない。タクシーも1割引きのみだ。にも関わらず、なぜ返納者が増えたのか?毎日新聞2007年9月25日

おそらく、これまで交通における高齢者優遇が少なかった高知県で、免許返納を地域全体で取り組み、尊敬をもって少しお得をひねり出した危機感、高齢者説得の雰囲気が、地域に共感をもってひろがったのだと思う。

制度として、敬老パスという名の無料(または半額、または100円)交通パスは、実質、交通事業者への赤字補填が見え見えではないか。そこには、「しがらみ」はあっても「敬老」はない。高齢者は長く人の間と言葉で暮らしてきた人生の達人である。尊敬の無い、しがらみ制度、どこかに無駄無理があれば、それを頼ろうとは思わない。認知の方ほど、本質を見抜く。お上のお世話にはならんと、自分でハンドル握るのである。

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2009年9月 1日 (火)

続:高齢者の運転免許返納制度のコツ

高齢ドライバーによる事故増加を受け、警察庁は98年、加齢や病気による身体機能の低下を感じる人に対し、運転免許を自ら公安委員会に返してもらう制度を導入した。毎日新聞が47都道府県警に管内の返納件数を尋ねたところ、65歳以上の自主返納者は06年に全国で2万1390人。年代別統計を取り始めた02年に比べほぼ3倍に増えた。
 返納率が最も高かったのは0.69%の静岡県で、高齢者1万人当たり69人が返納した計算だ。同県のバス・鉄道会社は返納者を対象とした料金割引制度を導入。続く富山県(0.49%)では富山市が同様の制度と地域交通網の整備など「脱クルマ」の街づくりを進め、3位の青森県(0.45%)は、青森市が高齢者の市街地への移住支援に取り組んでいる。地下鉄やバスなどの交通網が充実している首都圏や近畿圏なども上位に入った。
 これに対し、返納率が0.1%に満たない地域は18県。4年間でダウンした所も6県あった。大半は過疎化が進んでおり、最下位の和歌山県は0.01%で、返納者はわずか16人。トップの静岡県とは比率で69倍の差があった。
 一方、02年に返納率が0.01%で最下位だった高知県は、その後返納者の支援に取り組む自治体が現れ、06年には0.14%にアップし、25位になった。【出典:毎日新聞】福祉の杜2007/9/27/

その結果、高知県では高齢者が第一当事者となる死亡交通事故が、急激に減った。高齢運転と免許返納 高齢者は、高齢運転が危険なことは重々ご承知だ。クルマに乗れねば人間としての扱いを受けない冷たい地域ではなく、安心して免許返納できる、免許返納者を尊敬して少しお得にする優しい地域社会をつくりたい。都会だけでなく、脱クルマまちづくりをすすめている富山、青森が免許返納率が高いのもうなずける。田舎だから、クルマ中心は変えれないは、努力不足の言い訳。高知にできて、和歌山、山口でできないのは、なぜ?

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