別府と豊後高田、そして長崎
別府は、高度経済成長期に大型のホテルが並び、観光客の関心を失った。そこで、2001年、別府八湯温泉泊覧会が行われ、市民主体で古きよき町並み散策観光が始まり、別府(7)、浜脇温泉、亀川温泉、鉄輪温泉(2)など12のコースがある。この手法は、長崎、函館、いわき湯本、諏訪湖、七尾、総社、久留米、都城、鹿教湯に伝わった。長崎さるくの根源であり、発案者田上市長も課長時代別府を視察している。ただ竹瓦温泉 だけでも3つ(ボランティアガイド、旅館ホテル組合、竹瓦倶楽部)あり、集合場所・料金・連絡先・開催日時・所要時間も統一感がない。総じて150分程度、かなり長めである。
一方、衰退する豊後高田の住民は、コンサルに調査を依頼したら、健康施設を作れと言われて呆然。仕方なしに2001年、昭和の町を始めた。古い民家を再生し、完全復元ではなく、皆で話し合って看板を残したり、古いままの家は、アルミサッシをはずして木枠にし、店内にお店のお宝を展示した。 その後、昔の倉庫を使って古い自動車、コレクターの映画ポスターなどの展示物を置いてもらい、ボンネッテバスも誘致した。地域一丸となって、入れ代わり立ち代り、日参して誘致したという。その高揚感が伝わる、感激・興奮できるガイドであった。好きな名所を案内するのではなく、「私の町を知って」と訴える迫力が重要なのだ。ボンネットバス内部から、まちの人に手をふる、振り替えす。こんな体験ができるところが凄い。
まち歩きによる地域価値の発見、それによる観光復興は、長崎さるくを見るまでもなく、地域一丸、「これしかない」という危機意識、皆でカネを出してまちづくり会社を経営する「人の再生」から始まるのではなかろうか。旅館組合と観光ボランティアとまちづくり団体と行政が、一丸となってゲストを迎えねば、せっかくのまちあるきも、参加しにくい。
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