密教と土木計画①
弘法大師空海は、単なる密教の紹介者だけではなく、その伝説から池作り、水脈開発、水銀など鉱床開発などの工学知識を移入したともいわれる。アーチ型ダムの日本一の満濃池や、修行した大龍寺にある若杉辰砂鉱床遺跡は、その証明。最古の工学博士である。空海が移入した大日経は、三句の法門といい、「菩提心を因とし、大悲を根とし、方便(実践)を究竟(くきょう)とす」という。現代土木工学も菩提心(悟りを求める心)はあるか、大悲(慈悲の心)はあるかが問われる。方便(実践利)だけではだめなのだ。己の利は、世のため人のため(他)への行にならなければいけない。これは大乗仏教のいう利他行である。つまるところ、土木工学は正義の実践であり、密教に学ぶこと多し。
空海は密教の教えを両部曼荼羅(胎蔵部曼荼羅、金剛界曼荼羅)として図解している。
胎蔵部 | 理法身 | 実相 | 阿(あ) | 平等 | 胎 | 蓮華 | 地水火風空 | 衆生 | 東(向太陽) |
(真理) | |||||||||
金剛界 | 智法身 | 理想 | 鑁 (ばん) | 差別 | 心 | 月輪 | 識 | 仏 | 西 |
(本性を見抜く) | (曼荼羅に合一) |
生活世界の真理を極める衆生生活に入り込み(合一)し、技術世界(金剛)の智を極めねばならない。工学はそんな仏性を持たねばならない。
| 固定リンク
「交通を活かしたまちづくり」カテゴリの記事
- ストック効果と社会的共通資本に対するコモンセンス(2016.11.08)
- 宮本常一、酒と歩み寄り、篤農家、そしてバラバラに出稼ぎ(2016.09.20)
- 蟲明先生にお話を伺う(解釈意訳)(2016.08.09)
- 住民主体と民間主導 蟲明眞一郎(2016.08.07)
- 住民主体のまちづくり 蟲明眞一郎(2016.08.07)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント