民俗学を学びたい
2日は、文学研究科の博士後期の院生と、文学部日本学の2年生の訪問があった。
博士論文で北海道移民と故郷の関係を考えようという。考えてみると、1930年代の向都離村による故郷(こきょう)の危機に瀕して、柳田國男が地域づくり(ルーラル・エコノミー)として世のため人のため立ち上げたのが民俗学であり、70年代以降の都市化のなかで故郷(ふるさと)を問うたのも民俗学であった。私が、1995年の阪神大震災で復興まちづくりに関わったのも、故郷の危機に瀕してであった。故郷は、危機に直面して実感する。北海道は、移住当初から、故郷から切り離されていた。ここに、北海道の故郷意識の特色があろう、などということで、宮田登『心なおしはなぜ流行る』、川田順造『母の声、川の匂(にお)い—ある幼時と未生以前をめぐる断想』、森栗『河原町の民俗地理論』などを貸し出した。
入れ替わり来たのが元気な男子学生。歴史学や社会学・言語学には、はっきりしたシステム(フレーム)がある。しっかりした論文を書くならそっちだねと笑いつつ、学部4年で就職するという。それなら、フィールドに行って、自分で現場に働きかけ、考え、フレームを組み立てる民俗学のほうがおもしろい、意外と社会に出てから役立つぞとなった。民俗学というと、少しつらいが、民俗=時間の重なりや地霊の重みからのなつかしい未来 を考えることは、経済の論理や法学の知に比べ、勝るとも劣らない重要性がある。文学部に来たら、就職があるとかないとかせせこましいことを考えず、思い切って民俗に焦点をあててみよう。こんなことを話しあっていると、みるみる明るい元気な顔になった。
対面教育は楽しい。
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