「よかネット」
現場主義のコンサル:地域計画建築研究所(アルパック)の九州分社。アルパックの大阪所長として再開発の権利調整などを手がけた糸乗さんが立ち上げた。単に集まり、だべり、うまい物でも食えば、知恵が出るかなという低コンセプトの知的企業(個別事業の原価計算はちゃんとしている。それが経営の基本。どんぶりはやらない)と、雑誌「よかネット」の読者である私は思っている。糸乗さんとは一度しか会っていない。糸乗さんは焼酎ぶら下げて、くるくるバスに乗り、「これは良い」と感嘆して帰っていった。以後、私は「よかネット」のファン。
第94号は、北九州市小倉北区の農産物直売所の報告から。これを読んで、日本で一番成功している中心商店街活性化といわれる高松の亀井戸市場を思い出した(4月15日記事)。まちなか農産直販所こそ、まちなか再生の切り札だ。有機の地元のええー食い物が一番。次に、湯布院の景観まちづくりの報告。なかなかエー仕事。ホラ健、いや中谷健太郎さんに、地域景観のなかにバラバラに温泉がある、温泉街がない温泉地という、本質を聞き出してるのはすばらしい。糸乗さんの落ちこぼれ談義も面白い。糸乗さんは、レールに乗ったエリートではない。落ちこぼれだから、他人にいろいろ教えてもらえる。落ちこぼれだから、期待されない=プレッシャーがないので自由にやれる。落ちこぼれは、金儲けはできないがそこそこ食っていけて、人儲けはできるという。
今、コンサルは契約原価を落とされ、研究員の仕事量は多いが、苦しい。しかし、考えてみれば、糸乗さんや田村さん(『東京っ子の原風景』書評が掲載)が始めた頃、ソフトにカネを払う風がなかった。大学の権威すらない小さな会社にどんな契約をして良いかわからなかった時代を考えれば、苦しい苦しいと言っていても始まらない。コンサルの原点を見よ。エリートになったから、それを守ろうとして苦しいのとちゃうか。大学教師もコンサルも、食い物一つ生産できない落ちこぼれである。落ちこぼれを自覚することから始まるのではないか。
単に集まり、だべり(最近は、コミュニケーション、ワークショップと格好をつけていうが、要はだべり)、うまい物でも食えば、知恵が出るかなという低コンセプト【そういえば、昨日のゼミでは大学院生に苺を配った】。知恵って、格好をつけた成果報告書(大学教師は論文)を書くことだけではない。発注者と受注者が響感・納得できる知識を共有することだ。世のため人のため、その知識を活かす知恵(大学の社学連携)が必要ではないか。そもそも、自分らが楽しくないと、人を幸福にする知恵の創造なんてできんでしょ。
悩んでいる人、苦しい人よ。「よかネット」を一読することをおすすめする。
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