世に遠い一つの湯治場
岩手花巻空港から送迎バスで30分。山ふところ、トンネルをはさんで、グルッと20弱の宿が環になって並ぶ湯治場がある。 硫黄系、硫酸系など湯質、量豊富。ひと風呂浴びて、タオル片手に下駄、単全で、細長い湯治場一回り。ところが、最奥の公営温泉からかなり上がって、雪道を下駄で歩くはめとなったとき、突然バスがすれちがえる程の大きなトンネル。トンネルを出て山を切り分けた雪の舗装道路を行けども行けども、一回りできない。あわや、単全で遭難か?「なあんだ、奥の施設にバスを入れる為?」と、「湯治場のメルヘン」の夢が消え落胆して歩いていると、通りかかったオバアが「ンまっ、歩きなさったかい」と心配してくれる。夢想と、公共事業の現実批判を口にすると、昭和24年の火事で、下からだけでは消せず、奥へ奥へと延焼したから、上にトンネルを通したという。
メルヘンでも、公共事業依存でもない。地域には地域の生き方がある。そんな現実を通りすがりに、語りかけていただいた。そんな語りかけのある湯治場、台温泉であった。
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